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金色の月姫  作者: 藤の花
月より舞降りた鬼の姫
20/79

弐拾

――――――――

澪菜が平安の国に来て、三週間くらい過ぎていた。町に出た時助けた子猫も走り廻れる位元気をとりもどしている。

 

「猫ちゃん元気になってよかったね。」

「にゃーん」

 

大分澪菜もここでの生活になれてきた。

失礼しますと御簾をあげ、パタパタと千鶴がやって来た。召し物の日干しをすると忙しく働いている。澪菜は手伝おうと声をかけたが、お手を煩わせるわけにはいかないと断固拒否された。


「でも働かざる者食う可からず。私、ただめし食らいだよ?」

屋敷に置いて貰えるのは有り難いけど、何もせずにいるのは心苦しい。

 


「いいんじゃないのかしら?千鶴一緒にやってあげなさい。」

 

「静子さま!」

後ろから話しかけて来たのは、女房頭の静子だった。

「私はそういう考え方好きですよ。」

澪菜は静子とは前回の鬼事件以来初めて話したのだ。

 

「姫様、この間はご無礼大変失礼しました。」

気まずそうにしている澪菜をみて、深々と頭をさげた。

 

「姫様のおかげでわたくしと千鶴の命生きながらえました。感謝してもしたりないです。しかしこの国では当たり前な考え方。心に止めておいくのが、姫様の為ですわ」

 

「………はい」

沈む澪菜を見て、静子は話しを続けた。

「姫様が悪いと言ってるんではありません。千鶴も女房としての態度として、きっちり指導しましたし。」

 

「はい。あの後、2時間説教受けました」

千鶴がポツリと言う。千鶴の青ざめ様から見て、大部指導されたのだろう。

 

「説教と減給ですんだのが奇跡ですよ。」

減給と聞いて、処罰はしないと言ってたのにされてさしまったのかと聞いたら、減給くらい処罰にならないほど軽い処分だと二人はいう。


「故郷父にしでかしてしまった事を文で報告致しましたら、女御様に失礼をしたのに減給ですんだうえにまだ女御様の近くで仕事させて貰ってるなんてわけがわからない返事がきました。」

千鶴が異例すぎる事を熱弁し、澪菜と静子のおかげだと感謝を伝えてくる。


「女房として、精一杯お仕えさせて頂きます!!。だだわたくしは女房達を守るのも仕事。不快な思いさせてしまうかもしれないのでその時はおっしゃってください。」

静子がピシャリと言いたい事を告げ終えると、満足げな顔をした。


「なんか羨ましい。」

静子の切り替えの早いサバサバした所に、感心する。マイナス思考な澪菜にとって、1番憧れているものだった。

「静子さんってカッコイイですね。」

 

 

「そうですか?仕事なだけですよ。」

少し照れながら答える静子。

 

「では、千鶴と日干しよろしくお願いしますね。」

といいながら千鶴に姫様には負担のかからない軽い物を選びお願いしなさいと澪菜に聞こえないように耳打ちした。千鶴は顔を引き締めなおし「はい」と返事をすると、奥部屋に日干しする打ち掛けを探しにいった。


「他にも何か出来る事あったらやりますので!!」

澪菜が元気よく答える。

 

「姫様にはこれから御后教育が始まりますから、それが仕事ですね」

 

「へーってっ!!おきさききょーいく?」

 

まさか!!まだ女御の話は続いていたか!!?

最近その話には誰も触れなかったから忘れてたが。

 

 

「朧……具体的にはまだ先の話って言ってましたよ?」

静かな抵抗を見せる。しかしそれが猛反撃になる結果になった。


「姫様は、琴は嗜んでいらっしゃるのですか?」

 

「……いえ、習い事は小さい頃にピアノを少しです。」

 

 

静子は頭を抱えながら、深いため息をつく。ちなまにピアノは通じてないようだ。

「和歌に箏曲に焚き物。あとは宮中の嗜みに碁も打てる様になって貰えなければ困りますよ。」

 

「ヒィッッッッそんなに!!?」

 

「東宮様の言う通り、まだ入内の日取りは決まってません。ですが、やる事は沢山あるのですよ。いい先生が見付かり次第、始まりますので覚悟してて下さいね。」

静子はにっこり笑うと次の仕事に去って行った。

 

笑顔が返って恐かった。

この間々だと、流れるままに入内させられる。

そう思うも、「まだ時間もあるし…何とかなるか!」と軽く考えてることにした。

というか、思い込まなきゃやっていけない。普段マイナス思考な癖に、こういう時は楽観的なのは喜ぶべきなのだろうか。

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