弐
「もぉっ!涼君!!?ビックリしたでしょ」
「悪りぃ。でもお前もビックリしすぎだろ(笑」
「イキナリ声かけるから」
「にしても、朝からおばけはないだろ」
クスクスお腹を抱えて笑われて、澪菜は顔を真っ赤にした。
「恥ずかしい。忘れて」
彼は、宇佐美涼。
二つ年上の17歳。
ツンツンと髪がたつ茶髪の短髪で、すっきりとしたさわやかな少年。
女の子だったら、カッコイい。男の子だったら、かわいい?って言葉が似合いそうな中性的な、綺麗な顔立ちをしていた。
彼は、幼い頃の唯一澪菜の味方だった。澪菜にとって唯一心許せる友達。
いわゆる、「幼なじみ」なのだ。
「ほら、いつまで座りこんでるんだよ。遅刻するぞ!」
涼は手をそっと出し、澪菜をぐっと引っ張り起こした。
「ありがと………」
照れながら言う澪菜を見て、涼はにかっと笑った。
「まったく、亀だからな!澪菜は……………んっ予鈴鳴ってるぞ」
耳をすませると、校舎から鐘の音が聞こえる。
「大変!涼君!!本当に遅刻するよ」
「走れ!!!!!!予鈴なんだからまだ間に合う!!」
涼は澪菜の腕を掴みそのまま走り出した。
全力疾走。
時計を見ると何とか本鈴の二分前に、2階の廊下にまで着いていた。
「そうだ!!今日の放課後なんか予定入ってるか?」
「うぅん?空いてるよ。」
「じゃあ、教室で待ってろよ。迎え行くから。」
「………うん…??」
意味がわからないまま、取り合えず返事をする。
涼の教室は3階だからここでお別れ。
「放課後な!!!!忘れるなよ」
そう言って、涼は3階に急いで駆け上がって行った。