拾
「うーん…」
澪菜は頭を抱えながら、話を整理して見た。
とりあえずここは平安と言う国。日本ではないらしい。
見た感じ、テレビとか本で読んだり、歴史で習った平安時代にそっくりな場所だけど、ちょっと違うみたい。そして、朧は私が月から来た姫だと思っている。
__異世界?時空を越えて異世界に飛んできた!!?
、、、。
「いやー!ありえないでしょ」
澪菜は必死で自分の考えを否定するも、そう考えると話のツジツマが合うのに気付いていた。
ショックの性か、顔面蒼白し澪菜は急に力が入らなくなった。
「大丈夫か?」
朧が心配そうに見ている。
「ごめんなさい。突然の事だったから……ビックリして力が入らなくなっちゃって。」
朧はふわっと澪菜を抱き上げると、御簾の内側に連れていった。
「少し夜風に当たりすぎたかな。今日はもうゆっくり休みなさい。名残惜しいが、また明日会いに来るよ姫」
そう言うと、微笑んだ。
朧の笑顔はスゴイ優しくて、こっちまでつられてしまう様な笑顔だ。甘いはちみつの様な。
つられて澪菜も微笑みと、朧は安心し頭を何度かサラサラ撫でて部屋を後にした。
一人で考えたってしょうがない!!
そう。これは夢!!
夢なんだ!!そう思えばきっと夢になる!!
半ば無理矢理そう自分に言い聞かせ、眠る事にした。
目が覚めれば、元の世界にいて、また学校に行く毎日になる。ちょっと憂鬱だけど涼君がいるから頑張れる。そんな日常に戻れる。
淡い期待を持ちながら目を閉じた。
とても静かな夜。虫の鳴き声が遠くで聞こえる。
「おやすみなさい」
澪菜は静かに眠りについた。