懐かしい音
私はある時に懐かしい音――オルゴールを聞いた。
綺麗だけど切なくもある。
あなたはいつかの時にこのオルゴールをくれた。
まだ、私とあなたが恋人と言えた頃にね。
けれどあなたはオルゴールだけを私に託して遠くへ去ってしまった。
それを知った時には凄く悲しくて一晩中泣いたよ。
あなたとはもう会えないんだね。星の彼方という遠い所へ行ったあなたには。
ねえ、私は今日も元気にしているよ。
あなたはどうしているのだろう。不意に気になる。
濃い草の香りに髪を靡かせる風。外で真夏の暑い中で歩いた。
私の住む所は片田舎で山に点在する家々に田畑だけだが。
あなたは気に入っていたね。
私は今日もこの片田舎で過ごしていく。あなたを忘れないためにも。せめて空からでいいから見守っていてね。