五話 課金するんです
五話 課金するんです
要が新たなメッセージを壁紙にした翌日、今度は残っていた。見てないのかと思い、写真を確認すると数が増えていた。アプリは触ったようだ。
写真を壁紙にするときに気づかなかったのだろうか。自分の写真があることに。
「怒った顔もかわいいな」
エスパーダの写真を眺める。怒りの原因が要にあることには関心がないらしい。
そこにメールが来た。エスパーダからかと期待したが違った。課金の通知だった。
課金は一万円。この前もそうだった。このままでは要の生活がヤバくなる。もう自分をアピールしてる場合じゃない。
要はエスパーダに向けて、注意というかお願いをしたためた。
「お願いします」
要はスマホに向けて拝んでしまう。これから出社して、仕事して、帰って、寝るまでに相当時間があるのに。それほど要は追い詰められていたのだ。
翌日、壁紙は消えて新たに撮った要の寝顔に差し替えられていた。加工アプリで『この盗撮野郎!』という文字まで付け足されて。
写真を確認すると今まであったエスパーダの写真は消されていた。とうとうこちらの仕掛けに気付いたのだ。
そして新たに課金の通知が来て、要は泣きたくなった。