四話 人間からメッセージが来たんです
四話 人間からメッセージが来たんです
要はとりあえず想に写真を送った。彼女はスマホサイズのレディーだと紹介する文を添えて。
出社した後に見ると、『想に女の写真を送るな』と明らかに都が書いた文が返ってきていた。スマホを見られているのはホントらしい。
想からの連絡待ちで、普通に仕事をする。
返事は夜、家に帰った後に来た。
『加工はされてないみたいだね。まさか小人なんて。都が朝から不機嫌だからこっちは協力できないけど、うまく接触して、課金をやめさせるように交渉してみてよ。エスパーダが好みのタイプだからって油断しないように』
想はエスパーダが要の好みのタイプだと気付いていた。やはり幼なじみだ。それに引きかえ都は……。
「いや、都よりも彼女だ」
要は狸寝入りして、エスパーダがスマホに近付いたところを押さえる作戦を思いついた。が、彼に夜更かしの才能はない。横になるとすぐに寝てしまう。睡魔に抗う術を身につける間に課金の総額が上がるだろう。
別の方法を考えるしかない。
「なんとか連絡取れれば良いけど、スマホ持ってるわけないよな」
持ってたら自分のスマホでゲームをやっているはずだ。課金を押し付けるためという考えもよぎったが、あんなにかわいい彼女がそんなことをするとは思いたくもない。
とりあえずメッセージを送ってみることにした。紙ではみてくれないだろうから、確実に見てもらうにはあれしかない。
仕掛けをして眠りについた。
翌朝、スマホを見ると壁紙が変わっていた。寝ているときの要がアップで映っている。その額には『バカ』と書かれていた。
「やられた」
要の壁紙は消されていた。壁紙に好きな字体で文字を書けるアプリでエスパーダに向けてメッセージを送っていたのに。
「やっぱり自己紹介が長かったのが悪かったかな」
顔を洗って、タオルで拭きながら次の文面を考える。
一度くらいではあきらめない。何度でもやるのだ。この思いがエスパーダに届くまで。