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二話 人間が話し合いをしてるんです

二話 人間が話し合いをしてるんです


 要は友人の辻谷想(つじたにそう)を喫茶店に呼んだ。


「なんでいるんだよ」


 そうだけではなく、女性がいる。彼女は鈴ヶ月都(すずがつきみやこ)、想や要と小中高といつも一緒だった腐れ縁だ。


「想が誰と会ってるか確認よ。GPS共有したいけど、拒否られてて」


 一言目に不満をぶつけられた。高校を卒業して、大学からは別になり、成人式で再会したときには想と都は付き合っていた。別に都と付き合いたかったわけではないが、自分に一切知らされてなかったのが哀しい。大学を卒業してサラリーマンになった今もその二対一感が続いている。


「束縛なんて相手を信用してないってことだろ。要、要なら分かるだろ?」


 都のかけてくるプレッシャーに、要は素直にイエスとは言えない状況に追い込まれた。


「今日は俺の相談だ。小さいかもしれないが優先してくれよ」


 とりあえず命の危険が及ばないであろう道を選んだ。想との仲はこの程度では揺るがない……はずだ。


「実は……」


 かいつまんで、事情を説明した。


「覚えてないだけじゃないの?」


 都は冷たい。


「見せてみ」


 要は素直に解除コードを押したスマホを差し出した。想は持ち主よりもうまく操作している。俺の物なのにいう変な感情が芽生えた。


「気付いたのは昨日?」


「あ、うん」


「だいぶ前からやり込まれてる。ほとんど夜中」


「夜中なんて寝てるって」


「あんたに女はいないそうだし。女の霊もいないし」


 都は霊視が出来る。そのことは今では身内以外は想と要しか知らない。小学校のときに見えることで周囲と軋轢が生まれ、反対に三人の結束は強まった。今ではそんな気配はない。


「酒は?」


「いや、飲めないし」


「じゃあ、薬?」


「やらないって」


「じゃあ、夢遊病一択ね」


 決め付けられた。


 想に目で助けを求めると、要のスマホを突きつけられる。画面にはゲームのステータスが映っている。キャラの名前は……。


「エスパーダ?」


「それって漫画のキャラ?」


「エスパーダ自体はスペイン語で剣って意味だけど、なんか思い入れとかある?」


 要は反射的に首を大きく横に振った。


「夢遊病ではないと思うけど、確認のためにアプリを入れてみよう」


 勝手に何かを繋いで、ダウンロードされた。


「これはある特定のアプリを操作するとその人の写真を撮るようにするアプリ。自作の」


「昔から得意だったからな。プログラム」


「本当はそれに写真からの個人特定機能を入れる予定なんだ。だから未完成」


「未完成でも助かる。夢遊病の疑いを晴らしてやる」


「何が映るか楽しみだよ。実験では都の顔ばっかりだから」


 これで犯人を見つけられるかもしれない。見つけたらとっちめて、課金分を返してもらうのだ。


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