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最終話 彼の金でスマホを買ったんです

最終話 彼の金でスマホを買ったんです


 小人のエスパーダとスマホを共有する生活が数ヶ月続いた。


 朝起きるとバッテリー残量が数%ということはしょっちゅうだったが、課金は一度もされていない。エスパーダのガラケーとメールでやりとりしているおかげだろう。


 おかげで要はエスパーダ達小人族のことに詳しくなった。


 小人族はその子が強く育つようにという願いを込めて武器の名前を付ける風習があり、エスパーダはスペイン語圏の小人族の中ではポピュラーな名前だとか。


 スマホ会社の名前がコビットで、エスパーダの大学時代のサークル仲間の一人が創業者の息子だとか。


 その大学のサークルが対野生生物戦闘サークルで、エスパーダはスナイパーライフルを使ってアライグマなどを狙撃していたとか。


 そのライフルは今も持っていて、要の部屋に巣食う昆虫や節足動物達と死闘を繰り広げているときもあるとか。


 想にSNSでその話をすると、当然のように都が『嘘ばっかり』と返してくる。


 エスパーダになりすましがバレたことと彼女のスマホを買うことになったことを伝えると、都はエスパーダに対する敵愾心を強めた。エスパーダは怖がって想と連絡を取ろうともしなくなったというのに。


『なんで要がエスパーダのスマホ買ってあげんの?』


 都は納得していないらしい。人の恋愛に口出ししないんじゃなかったのか。


『エスパーダが好きだからだと思う。それにスマホだけじゃなくてウサギの肉も買った』


『バカじゃないの。捨てられるわよ、絶対』


 今の要に都の言うこと聞く気は一切なかった。エスパーダとのやりとりが気に入ってるのだ。スマホを買ってあげても、そのやり取りが続くと良いなと思った。


 要のボーナスが振り込まれた日、ネットバンクの口座に金を移した。この口座を使って、エスパーダから課金された分の金は既に戻ってきている。


 エスパーダに振り込まれたことを連絡するとすぐに下され、次に会ったときにはもうスマホを持って、要に見せびらかしていた。


「これであんたのスマホを借りなくても済むわね」


 要としても、スマホが自分だけの物になるのは精神的負担が軽くなった気がして、嬉しかった。


 一方でエスパーダとの会話が減ることに寂しさを感じていた。現にエスパーダはスマホの操作に夢中で、要との会話はない。


 エスパーダは早速異界大戦のゲームアプリをダウンロードして、要のところにあったアカウントを活用するための設定に苦戦しているようだ。


「出来た」


 エスパーダは早速課金している。これで彼女との課金をめぐる争いは終わった……かと思ったがそうはならなかった。


 しばらくしてエスパーダと繋がっているSNSではなく、メールの着信音が鳴る。


 課金の通知だった。


「エスパーダ!」


「良いじゃん。付き合ってるんだし」


「それはそれ!」


 要とエスパーダの課金をめぐる戦いはまだまだ続く。



                                   完

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