ノネズミ兄弟の幸せ探し
「ねえお兄ちゃん、幸せって何かなあ?」
弟ノネズミは兄ノネズミに聞きました。
「何だろうな」
兄ノネズミは幸せが何かわかりませんでした。
「じゃあ探しに行こうよ!」
ノネズミ兄弟は一緒に幸せを探しに行きました。
「ねえことりさん。幸せってなあに?」
弟ノネズミは小さな小鳥に聞きました。
「ボクの幸せは空を飛ぶこと!高くて青い空を自由に飛んでいくこと!」
小さな小鳥は羽を大きく広げてそう答えました。
「ねえお兄ちゃん、ぼくら飛べないね」
「飛べないな」
ノネズミ兄弟には空を飛ぶための羽はありません。
「ねえもぐらさん。幸せってなあに?」
弟ノネズミはもぐらに聞きました。
「俺の幸せは綺麗な穴を掘ること。しっかりがっちり綺麗な穴を掘って進むこと」
もぐらはしゃきんと爪を鳴らしてそう答えました。
「ねえお兄ちゃん、ぼくら穴を掘れないね」
「掘れないな」
ノネズミ兄弟には穴を掘るための爪はありません。
「ねえうさぎさん。幸せってなあに?」
弟ノネズミはうさぎに聞きました。
「わたしの幸せは高く跳ねること。草の間から空に向かって大きく跳んで行くこと」
うさぎはぴょこんと太い足で飛び跳ねながらそう答えました。
「ねえお兄ちゃん、ぼくら草より高く跳べないね」
「跳べないな」
ノネズミ兄弟には高く跳ねるための太い足はありません。
「ねえお母さん。幸せってなあに?」
弟ノネズミは母ノネズミに聞きました。
「私の幸せは家族が居ること。みんなと一緒に毎日が過ごせること」
「ねえお兄ちゃん、ぼくら家族が居るね」
「居るな」
ノネズミ兄弟にも家族は居ました。
「じゃあぼくらも幸せなのかな?」
「どうなんだろうな?」
「私のかわいい子ども達。幸せはみんな違うのよ。だからあなた達のあなた達だけの幸せを見つけなさい」
ノネズミ兄弟は幸せって何かいっぱい考えました。
好きなこと、できること、したいこと、どれもいっぱいありました。
いっぱいいっぱい幸せって何か考えました。
「うんわかったよ兄ちゃん。きっとぼくにとって幸せってこういうことだったんだ!」
そうしていっぱい考えて、ノネズミ兄弟は幸せを見つけました。
「ぼくの幸せはね、野原をたくさん走ること!草をの間をずっと進んで疲れるまでいっぱい走ること!」
「おれの幸せは切り株の上で眠ること。太陽が降り注ぐ暖かい陽気の中で、ぽかぽかしたまま昼寝をすること」
「ぼくの幸せは走ること。兄ちゃんの幸せは眠ること」
「おれとお前の幸せも違ったな。幸せっていろんな所にあるんだな」
「うんそうだね兄ちゃん。幸せっていっぱいあるんだね!」
「いっぱいあったな」
そうして小さなノネズミの兄弟は、笑顔で野原を駆けていきました。疲れるまでいっぱい走ってから、ぽかぽか陽気の中で昼寝をするために。