表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

絵本っぽい短編

ノネズミ兄弟の幸せ探し

作者: 閑古鳥

「ねえお兄ちゃん、幸せって何かなあ?」

弟ノネズミは兄ノネズミに聞きました。

「何だろうな」

兄ノネズミは幸せが何かわかりませんでした。

「じゃあ探しに行こうよ!」

ノネズミ兄弟は一緒に幸せを探しに行きました。


「ねえことりさん。幸せってなあに?」

弟ノネズミは小さな小鳥に聞きました。

「ボクの幸せは空を飛ぶこと!高くて青い空を自由に飛んでいくこと!」

小さな小鳥は羽を大きく広げてそう答えました。

「ねえお兄ちゃん、ぼくら飛べないね」

「飛べないな」

ノネズミ兄弟には空を飛ぶための羽はありません。


「ねえもぐらさん。幸せってなあに?」

弟ノネズミはもぐらに聞きました。

「俺の幸せは綺麗な穴を掘ること。しっかりがっちり綺麗な穴を掘って進むこと」

もぐらはしゃきんと爪を鳴らしてそう答えました。

「ねえお兄ちゃん、ぼくら穴を掘れないね」

「掘れないな」

ノネズミ兄弟には穴を掘るための爪はありません。


「ねえうさぎさん。幸せってなあに?」

弟ノネズミはうさぎに聞きました。

「わたしの幸せは高く跳ねること。草の間から空に向かって大きく跳んで行くこと」

うさぎはぴょこんと太い足で飛び跳ねながらそう答えました。

「ねえお兄ちゃん、ぼくら草より高く跳べないね」

「跳べないな」

ノネズミ兄弟には高く跳ねるための太い足はありません。


「ねえお母さん。幸せってなあに?」

弟ノネズミは母ノネズミに聞きました。

「私の幸せは家族が居ること。みんなと一緒に毎日が過ごせること」

「ねえお兄ちゃん、ぼくら家族が居るね」

「居るな」

ノネズミ兄弟にも家族は居ました。


「じゃあぼくらも幸せなのかな?」

「どうなんだろうな?」

「私のかわいい子ども達。幸せはみんな違うのよ。だからあなた達のあなた達だけの幸せを見つけなさい」

ノネズミ兄弟は幸せって何かいっぱい考えました。

好きなこと、できること、したいこと、どれもいっぱいありました。

いっぱいいっぱい幸せって何か考えました。


「うんわかったよ兄ちゃん。きっとぼくにとって幸せってこういうことだったんだ!」

そうしていっぱい考えて、ノネズミ兄弟は幸せを見つけました。

「ぼくの幸せはね、野原をたくさん走ること!草をの間をずっと進んで疲れるまでいっぱい走ること!」

「おれの幸せは切り株の上で眠ること。太陽が降り注ぐ暖かい陽気の中で、ぽかぽかしたまま昼寝をすること」


「ぼくの幸せは走ること。兄ちゃんの幸せは眠ること」

「おれとお前の幸せも違ったな。幸せっていろんな所にあるんだな」

「うんそうだね兄ちゃん。幸せっていっぱいあるんだね!」

「いっぱいあったな」

そうして小さなノネズミの兄弟は、笑顔で野原を駆けていきました。疲れるまでいっぱい走ってから、ぽかぽか陽気の中で昼寝をするために。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ