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第34章 新メンバー誕生


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


【変更事項のお知らせ】


【変更その①】

冒険者パーティーは従来の最大5名制より6名制に変更とする。


〔理由〕

フィールド及びダンジョン内での被害が続出している為、人数を1名増やすことで対応するものとする。

よって、本日よりのパーティー依頼に関しては、最大6名を1パーティーとするものである。

尚、上位依頼を請ける場合は、より一層の準備と情報取得を怠ることの無きよう節に願う。


*人数増加による達成報奨金は増加適用するものとする。




【変更その②】

一部依頼クエストのクラス変更


〔理由〕

相当クラスは変更なし。上位依頼を請ける場合のみ注意が必要。

無理な上位依頼を請けることで安全性が著しく損なわれている為、一部被害の多かった依頼につきクラス変更を適用するものとする。


*臨時、緊急依頼に関しては別途相応クラスを判断の上、表記していくものとする。



冒険者ギルドマスター ベルナルト・セドラーク


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「遂に変更なったかぁ~・・・」


掲示板を見つめていたロークはポソッと言葉を洩らした。

ロークと俺は掲示板前で腕組みをしたまま、その変更通知を暫く眺めていた。


「う~~ん、どうなんだろうねぇ~これ!やっぱ前回の臨時クエストの被害が尋常じゃなかったからかなぁ~・・・」


「そうかも知れんぞぉ~~!あの後からすぐ改編の噂が出たからなぁ~・・・」


「でも、あれは上位クラスが舐めすぎてた帰来も無きにしも非ずだったんだけどなぁ~・・・」


「どうする?うちは5名のままでやるか??」


「どうなんだろうねぇ~・・・それで対応できるならそれでもイイし、上位依頼請けるなら6名がいいのかもなぁ~・・・」


「少し、みんなとも相談しないとなぁ~」


「あぁ~そうだな・・・」



ロークはリーダーらしくどうするものかと腕組みしたまま首を捻り唸っている。


軽食堂の方へと振り返ると、女性4名が楽しくお喋りしているのが見える。

パウラも出会い以来、うちの女性メンバーとかなりうち解けあっているように見受けられる。

そんな光景を見ると、何か無性に嬉しくなってしまう。


俺はもう1名増やすとなるとパウラしか居ないと心の中では決めていた。

パーティー行動は、お互いの信頼関係が最重要視される。

実力者の傭兵タイプより、気心が知れてる者の方が適任であることは自明の理である。

それに・・・他人には言えないが、ハイヒューマンと隠れハイエルフがいるパーティーなんぞ、古今東西どこを探しても見当たらない。

潜在的には十二分過ぎる。

そう考えると、自惚れでなくても笑えてしまうパーティーだ。俺はクラス的に落ちてもパウラ一押しで行くのがベストだと思った。




・・・・・・・・




2日後、俺たち5名はギルドの「変更内容」について話し合うことにした。

集まった場所はいつもの『かれん亭』だった。


「よぉ~し、今日は真面目な話だぞ!みんなも見たと思うけど、パーティーの上限が変更になった。今後、それにどう対応するかみんなの忌憚きたんの無い意見を聞きたい!!」


ロークはいつものふざけた表情ではなく、真面目な顔つきで全員を見回し訊ねてきた。


「リーダーとして、ロークはどう思ってるのよ?」


フローラがすかさず訊ね返した。


「俺かぁ~・・・正直思案してる。どうするのがイイのか悩んでるからみんなの意見を聞きたいわけよぉ~」


「まずさ~考えようよ・・・5人より6人の方がよりスムーズに依頼が達成できるか、5人のままでもやれるのか・・・ってことを!」


今回の議題としての本質はここにある。

人数を増やすだけが能では無いが、増やすならどうなるか、現行のままやるならどうなるのか・・・ここに尽きると思っている。


「効率は良くなりますよねぇ~依頼の内容が変更にならず従来のままなら・・・」


アニーの意見はもっともだ。クエスト内容が変更にならないなら1人分効率が上がるのは事実だと思う。


「まぁ、今回の変更は『安全重視』ってことが基本にあるみたいだし・・・内容云々より被害の削減ってことなんだろうなぁ~」


俺は俺なりにギルドの狙いを解釈しみんなの顔を見回した。


「達成報奨も増えた人数分出るなら問題ないなり~逆に達成しやすくならない?」


「う~~ん、1人増えたことで極端に達成しやすくなるかどうかはわからないけどさ・・・結局は冒険者の心構えと情報収集力の差になるわけだし・・・前回のゴブリン掃討戦だって、Bクラスのパーティーが壊滅したのは油断してたと思うしね」


前回の悲惨さは全員が目の当たりにしている。

何が起こるか判らないのが冒険者稼業だ。それをみんな理解できているからこそ考えなきゃいけないこともある。



「わたしさ、思うんだけどさ・・・うちのパーティーで足りない部分てどこなの?」


「どこだろう?・・・」


「前衛にローク、中衛にアニーとわたし、その後ろにクロエ、後衛後詰にショーヘイ・・・どこが足りないの?」


フローラの意見は至極当然に思えた。

バランス的には文句の付けようが無いぐらい良いパーティーだと思う。


「そうだのぉ~~~~!フローラに言われてみりゃそうだわなぁ~・・・」


「強いて言えば、ショーヘイさんが前後見なきゃだから、後詰か前衛のすぐ後ろ辺りがいいんじゃないなりか~?」


「クロエもたまにはイイ事言うじゃないかぁ~がははっ」


「あんたの脳ミソが恐竜級だから伝わってこないだけじゃない?きゃはは」


「うちに足りないのはロークの脳ミソなり~♪うひひっ」


「ヤメいっ~~~!今日の俺はマジなんだよぉー!!」


「ぷぷっぷ・・・」


「きゃはは・・・ゴメン、ゴメン・・・ひぃ~」


「あぅ・・・」


「ははっ、まぁ~考えてみりゃこのメンバーに1名補充するとなるとさ・・・誰でもってわけにはいかないよね?」


「そうですねぇ~ご主人さまと『スイッチ』できるような方が前提で、気心の知れている人になるのかな?・・・」


「だなぁ~・・・どこが増えてもいいけど、やっぱショーヘイとスイッチできるポジションがイイかもなぁ~!」


うちのパーティー構成なら敢えて6名にすることも無いと思われるが、みんなの負担減を考慮すれば5名よりも6名の方がプラスになるのは間違いない。

マイナス面はチームワークの問題になるが、これは人選で変わってくるわけで・・・段階的には次の課題になるだろう。

まずは、うちのパーティーが6名制を採用するかしないか・・・こっちが優先課題だ。


「5名も6名も結局やらないと行けないことは同じなんだから・・・最後はロークが決めればイイんじゃないかな?」


「うんうん・・・わたしもお任せします~あはっ」


「そうだね~わたしもクロエもあんたが決めたことなら、それで納得するから~」


ロークは腕組みしたまま天井を顰め面で睨んでした。


「よっしゃーー!うちも6名制で行ってみるかぁ~~!問題は人選だけどな~・・・うぅ~」





「こんにちはぁ~・・・あれれ?今日も皆さんお揃いなんですねぇ~ビックリなのです~!ぷぷっ」


この店がうちの仲間の溜り場と知っているパウラは、人恋しくなって話し相手を求めて来たのか、単にお茶を飲みに来たのかは判らないが・・・何かに惹き寄せられたように姿を現した。


「おぉ!パウラちゃん~~」


「こんにちはぁ~パウラさん!あはっ」


「おぉーーーー!ココにいるじゃないかぁ~~!!」


ロークは絶叫と共にパウラを指さした!


「へっ?!」


・・・・・・・・

パウラ・マルムロース

年齢・性別:17歳 ♀

種族:獣人族

冒険者ランク:Dランク

職業:ナイトブレイド

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