火星地表は地球の数千メートル級の高山と同じらしいがそれが何か?
さて、火星に着いた俺達を待ち受けていたのは果たして……?
やーやーどもども俺です。
色んなことに釣られてここ火星までやって来ました。
けれど、泊まったホテル・マーズルクソールはとても、大きいです………。
でだ。
二人のセクサロイドと一夜を共にするイチャコラ必至のイベント発生時に、俺は久々の重力下での宿泊を前に疲れ寝ると言うフラグペキ折りの大失態!てへ。
これを愛読しているティーンにフルボッコにされても何一つ言い返せない醜態を晒す結果と相成った。
だが、童貞の神はまだ見放していなかったのだ!
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「ご主人様!ご主人様!起きてくださいよ!」
………、うぅん、柚薬をもっと塗らないと失敗するって……。
「ダメよ姉様。この古時計はそんなんじゃ起きませんことよ。こうしないと………!」
はがぁッ!、イギッ!!
は、腹に、膝を、いれちゃあ、らめぇ………。
「あ、起きた。おはようございます。夜ですが。」
る、ルナ。君には少し後でお話しが沢山あるよ。
「だ、大丈夫ですかッ!?ご主人様!!」
つきみが口元を手で覆いながら聞いてくるよ。そりゃそーだ。
軽量級とはいえ、重力下ではセクサロイドと言っても軽く60キロ以上はあるし。
過去に、セクサロイド絡みで不慮の事故死を遂げた犠牲者は、確実に下に居たのが大半だって聞いたぞ。
「……生きていればよし、起きていれば尚良しですわ、ご、主人。」
ルナ。まぁ、いいや。懐の深い漢で居たいから。
で、一体何の用なの?まさか、軽い格闘技レッスンとかならスッパに教えてもらえぃ。
「そんなのはとっくに中級まで終わりました。今度無重力システマの教練をしますから。」
俺、確実に殺される匂いがするね。
「ご主人様!そんなことよりも早く着替えて大広間に行きましょ~!!早く早く!!」
うん。つきみ、君は俺がルナの暗殺技術所得の実験台になること位そんなこと扱いなのね。しにたいな。
「急がないとパーティー終わっちゃうよ!ほらほら!!」
いつに無くアクティブなつきみに急かされて身支度をするが、
お前ら二人。いつもそんなに息ピッタリに連携してたか?
つきみがパジャマを下ろせばルナが上着を取り、
ルナがシャツを羽織らせれば、
つきみがボタンを留めていく。
気付けば俺は………、オイオイ!これモーニングじゃん!!
こんなの、聞いてないよッ!?
あっという間の早着替えは終わり、いつの間にかルナは隣の部屋に行き、着替えをしているようだ。
「ご主人様、ご主人様、つきみは、そんな格好のご主人様も凛々しくて、大好きですよ……!」
脳が破裂してもよいな。今なら。
「それじゃ、つきみも御着替えしてきますから、待ってて下さいねェ~ッ!」
腕を振り振り隣の部屋に行き、入れ替わりにルナが戻って来る。
いつになく、ムスゥー…としたルナは、平凡なシャツにスラックスと言う、女の子の男子チックな格好。
どしたの?随分と怒りってる感じだけど?
「私だって、一応女の子ですから……姉様の晴れ姿は見たいですけど……」
ん、晴れ姿?
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なんとなくではあるが、予想は付いていた。
だがまぁ、今はとにかく気にしない。
しかし、はぁ。
いつの間にか俺は、大広間に、特設された檀上で待たされていた。
しかも、周囲には前回の仮装大会で見た顔が溢れている不思議…。
そして、遠くの入り口から、真っ白なドレスを纏った女性が、ルナを引き連れて歩いて来る…。
ルナは白を基調としたフォーマルドレス。
髪をアップに束ね、清潔感ある出で立ちだ。
そんな中、司会者らしき声がその場に響く。
「これより、仮装大会副賞授与式を執り行います!」
んー、それって、オートクチュールの……つきみのウェディングドレスのことだよな?
まさか、いや。まさか………
予想を覆すこともなく、ゆっくりと、しかし堂々とした足取りで進むつきみ。
あぁ、そうか。
こりゃ一本取られましたな。
つーか、まさかの擬似披露宴内でのウェディングドレス贈呈式って訳だわははははははひぃ………。
さて、冷静に分析してみよう。
俺の前に、小さな指輪がある。
どうやら結婚指輪だろう。
とても、高そうである。
これも、副賞?
なのかなぁ。
ふむぅ…。
むぅ。
ぅ。
これ、マジじゃね?
だって!セクサロイドの会社が!!宣伝の一環として!!!実物使ったプロモーションだとしたら!!!!
全部、モノホンとしたら、
オートクチュールのウェディングドレス、本物の結婚指輪、火星での本格的挙式、
「あ、旦那様吉報です。」
!!!!!!れれ?
「旦那様、耳骨マイクはずしてなかったんですね。インターセプトしております。」
ってことは、スッパか!お前器用って次元のセクサロイドじゃねーよ!もはや!
「まぁ、私が昔をしていたとかは置いておいて、」
いや気になるって。昔って何なんだよ。
「まず、予めお伝えしておきたいことがございます。今回の挙式は、古式ゆかしき地球式に則ったもの、キチンと執り行ってほしいとのことです。」
はぁ、そっすか。ま、それはいいや。それで、吉報って?
「火星法に於いて、セクサロイドと人間の婚姻は、法的に認められます。つまり、この婚礼は正式に受託されるものですよ。」
あぁ、そーなんだ。ふぅん……って!マジで!!ごっこだと思ってたら、マジもんなの!!
「はい。そうでございます。」
俺、ちょっとおしっこしたくなってきた。
「残念ながら、その時間はないと思われます。」
うぇ?まさかのおもらし我慢強要かい!?
「いえ、そうではありません。ただ今そちらの会場付近に、妨害勢力が接近しているとの報告がありました。」
妨害、勢力?
「えぇ、我々、外宇宙自己増殖アンドロイドに敵対する勢力、と認識して宜しいか、と。」
え?
それでは次回もお楽しみに!あと、近頃下ネタが少ないとお嘆きの諸兄、乞う御期待!!