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陽は昇るか  作者: 桜音


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第10話

大陸には多数の国が存在しているが、その中でもヴェリニジ王国の歴史は長いと言える。

しかし、今でこそ大陸一の大国であるが、古くからそうであったわけではなく、その地位を得たのはつい最近のことであった。


ヴェリニジ王国が急速に大国へと上り詰めたのは先代の王の時代である。

先王は狂王と呼ばれる戦狂いの人物で、隣国への侵攻を皮切りに次々と周辺諸国に戦を仕掛けては半ば無理やりに取り込んでいったのである。こうしてヴェリニジ王国は急速に大国となった。

そのため、ヴェリニジ王国は国内外に多くの敵を作ることになった。


繰り返される戦争でヴェリニジ王国の人々は疲弊していた。

さらに、周辺諸国を取り込んだここにより様々な火種が燻り、国はどんどん荒んでいった。

そんな折、幼いころに外国に留学していた先王の年の離れた腹違いの弟が帰国した。

先王の弟は兵を率いて先王を討った。そして、先王の弟は兵士や民衆に後押しされ、空席となってしまった王位に就くことになった。それが現国王であり、ツェザーリの父親である。


現国王が王位についたとき、王はまだ若く誰も娶っていなかった。

そこで先王の時代に取り込んだ国から貴族の娘を1人ずつ娶ることにした。こうして王は一気に7人を娶ることになった。

王は取り込んだ国との間で協定を結ぶのと並行し、一夫一妻制を施行した。

先王の時代においては、妻の数が権力の象徴であり、王侯貴族に限らず、裕福な平民でも何人も妻をもつほどであった。

しかし、王は幼いころから外国に留学をし、様々な国を見て見分を広げる中で、何人もの妻をもつことは争いの種になると考えていた。

そのため、自身においても1年の期間で7人のうちから王妃を選定した後、王妃が男児をなした時点で側妃は家臣に下げ渡す手筈であった。

そして1年後には予定通り王妃が選定された。

王妃が選定されるまでの1年の間に、妃たちの中では以前の国の大きさで上下関係が築かれていた。

王妃に選ばれたのが1番小さな国の者だったため、側妃らは皆不満を抱いていた。

それに加え王妃にはなかなか子ができず、2年経っても子ができる兆しを見せなかった。

ついには側妃らの嘆願も無視できなくなり、王は王妃を定めてからは見向きもしなかった側妃たちにも順番に夜の相手をさせることにした。

すると間もなく1番大きな国の者との間に男児が生まれた。それがツェザーリである。

しかし、その少し後に王妃も男児を出産した。

それ以降、王は側妃に夜の相手をさせることをやめた。

王妃はその後さらに男児と女児を1人づつ出産した。

そしてツェザーリの母を残し子のいない側妃は家臣に下げ渡されていった。




「歴史が長いので、今日はとりあえず知っておいてほしいことをざっくりと説明致しました。詳しいことはまた次回以降に致しましょう。この本をお渡ししますので、時間があるときに目を通しておいてください。」

「はい、ありがとうございました。」

ふと時計に目をやると結構な時間が過ぎていた。

ざっくりとは言っても資料を交えて丁寧に説明をしてくれていたので当然である。

イーニアスの時間は大丈夫なのだろうか。ふと心配に思ったがすぐに思い直す。

イーニアスとの付き合いはまだとても短かったが、それでも彼がそう言ったことに抜かりがないということはなんとなく感じていた。


「陛下は不器用な方でしょう。」

「ふふ。そうですね、私もそう思います。」

「ヴェリニジ王国も少々複雑で、そもそも女性と接する機会があまりなかったというのもありますが、陛下自身も意識的に女性を遠ざけていたので、女性と接することや扱いに慣れていらっしゃらないのです。」


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