第9話
初めて食事を共にして以来、約束通り一緒に食事をとるようになっていた。
「本を読むのが好きなようだな。」
「はい、自分の知らないことや新しい考え方に出会えるので面白いです。」
莫大な時間だけがあったので、幼いころから本を読むことが楽しみだった。
でも、なぜそんなことを知っているのだろうか。
「侍女から聞いた。」
つい顔に出てしまっていたことに気づき、気を引き締める。
「そうでしたか。」
「この王宮の書庫の本はもうだいぶ読んだのか?」
「ときどき侍女に本を持ってきてもらっていたくらいなので、まだ読んでいないものも多いと思います。」
「そうか。取り寄せが必要ならいつでも遠慮なく言ってくれ。私でも侍女でもイーニアスでも構わない。」
「ありがとうございます。」
「ところで、話を聞く限り学ぶのも好きなようだから家庭教師をつけてみてはどうだ?」
「家庭教師、ですか?」
「ああ、わからないことがあればすぐに聞けるし、何かと便利だろう。」
「そうですね、お心遣い感謝いたします。」
私は王女ではあったが、淑女教育もろもろ、ほとんどきちんとした教育を受けていない。
ツェザーリははっきりとは言わなかったが、王妃になった今、私の生い立ちを気にかけて家庭教師をつけてくれようとしているのだろう。
「家庭教師にはイーニアスをつけようと思う。」
「え、イーニアス様ですか?」
「不満か?」
「いえ、そうではなくて、いいのですか?」
「何がだ?」
「イーニアス様は陛下の側近ではないですか。」
「そうだが?」
ツェザーリはなぜだか私の言いたいことがわからないらしい。
「陛下のそばにいらっしゃらなくてもいいのですか?」
「ああ、何の問題もない。ずっと一緒にいるわけでもないし、イーニアスがいたところで小言を言うくらいのものだ。」
「そう、なのですか…。」
なんとなく納得がいかなかったが、言い争っても仕方がない。
「陛下がそうおっしゃるのでしたら私は何の異論もありませんが、イーニアス様にご迷惑ではないでしょうか?」
「ああ。むしろ喜ぶだろう。私といても面白くないからな。」
「?」
家庭教師の件はすぐに手配され、次の日には勉強の時間が設けられた。
「それでは始めましょうか。」
「本当によろしかったのですか?」
「ええ、もちろんですよ。陛下といても面白くありませんから。」
「ふふ。」
「どうかされましたか?」
「いえ、お二人は本当に仲がよろしいのですね。」
「はい?…、結構です。それでは始めますが、何か知りたいことなどはありますか?」
一瞬心外そうな表情をしたように思ったが、私がさらに話そうとすると、まるで興味がないのか時間を惜しむようにバッサリと切り捨てられてしまった。
「ふふ、そうですね。ではヴェリニジ王国のことを教えていただきたいです。」




