表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オメガ、俺は君の頭の中にいる  作者: 金沢書庫
2 イン 1メイド、社会に降り立つ
10/11

UMAですってよ、奥さま?怖いわー

短いです

次からはほんとちゃんと話を進めましょう

 ベリーフィールドの都市部には一部の人間から絶大な支持を受けている骨董屋があるのをご存知だろうか。その骨董屋の名を「レッドハウス」と呼ぶ。

 この「レッドハウス」を営む女主人ツィーギー・ライトは、ある日謎の飛翔体と遭遇したそうだ。

 彼女は謎の飛翔体に遭遇したときの事をこう語る。


「あまりの暑さに干上がっちゃうんじゃないかって気温だったから外なんか出たくなかったんだけど、きっと暑いって事に関しては店先の花だって同じ気持ちでしょ? だから仕方なく水をやるために意を決して外に飛び出たのよ。ほら、骨董屋なんて言っても客商売じゃない。少しでもお客の目を引くために花飾ってんの。あんたも見たと思うけど、素晴らしい花壇でしょう。それはそれとして、花に水をやってたらさっと日が翳ったのね。ほんと、冗談じゃないくらい暑いもんだから少しの影でも気持ちが良くって、このまま曇りにでもなってくれれば多少は涼しくなるんじゃないのかって思ったくらいだったさ。んで、水やりも終わって店に引っ込むかって考えてるときにふと疑問がよぎったのね。『この影、雲にしては随分濃くないか?』って。それで後ろを振り返って上を見てみたら何がいたと思う? デカい爬虫類よ! よっぽどの事じゃなきゃ驚いたりしない私だけど、あれはよっぽどだったわね」


 この語りをご覧の通り、このツィーギー・ライトという女性は極度におしゃべりだ。彼女の店の常連客に彼女の話を聞けば「彼女に質問をするなら回答に至るまでの道程は混迷を極める。前人未踏の魔の山攻略を挑む登山家さながらの覚悟がなければならない」と返ってきた。また別の客に「歴史的な発見の第一歩が彼女だなんて、歴史に残る悲劇の幕開けだ」と言わしめるほどである。

 当初インタビューを予告していた当記事だが、紙幅の都合上大幅な要約が行われる事をご容赦いただきたい。

 彼女に対するインタビューの全貌を学術的知見から要求する奇特な読者、あるはツィーギー・ライトの熱心なファンにおいては、編集部まで一報いただければ(有料にはなるが)音声記憶結晶の送付も可能だ。


 さて、ツィーギー・ライトの語るところによれば、謎の飛翔体は爬虫類だったそうだ。しかし(博学な読者諸兄にはいうまでもないが)爬虫類は飛行しない。

 多くの研究者がいにしえに聞く伝説の再現を図り、既知の爬虫類を飛行可能な生命に作り変えようと研究を重ねてきたが、それら数々の実験が失敗に終わってきた事は読者諸兄のよく知るところであると思う。

 では、彼女が遭遇したという飛翔体は何だったのだろうか。既存の研究からは、爬虫類の飛行成功の報を聞かない。我々研究者が報を聞かない以上、それは人工的に生み出された生命では無い可能性が生じる。そんな事があり得るだろうか。


 伝説を紐解けば、過去に爬虫類が飛行していたという話はある。


 北の山脈地帯に伝わる岩龍「ドングリ」

 南の渓谷地帯に伝わる火龍「マツボックリ」

 西の海に浮かぶ島々に伝わる海龍「ハマグリ」

 東の森林地帯に伝わる電龍「イガグリ」


 どれもそれぞれの地域では独特の信仰を得ている飛行可能と伝わる爬虫類だ。地域住民らはその存在を信じており、彼らはその土着的な風習から飛行可能な爬虫類を「龍」ないしは「ドラゴン」と呼ぶ。

 当記事においてもそれにならい、以後は飛行可能な爬虫類を「ドラゴン」と記すものとする。


 しかし、これらドラゴンは伝説上の生き物である。学術的価値が認められるだろう資料を参照しても、最後にドラゴンが確認されたのは500年前。その前となると1000年も前になる。

 ドラゴンが過去に実在したという点は我々研究者の中でも既に共通した事実になりつつあるが、直近で確認された個体が500年も前となると、既に我らが世界には存在しない生物であると考える方が妥当では無いか。故にドラゴンは伝説上の生物であり、我々はその生物の再現を図るため研究を重ねているのである。


 今回ツィーギー・ライトが遭遇した飛行可能な爬虫類個体(推定ドラゴンとしよう)は、彼女の言によるとその影が「雲の影」にまごうほどだったそうだ。つまり相当の大きさの体長を持っていた事がわかる。

 現状我々が研究に使用する爬虫類個体は、掌に乗るほどの体長である「シロベーントカゲ」だ。シロベーントカゲの体長は成体にしてその程度であり、特異体であったとしてもトカゲの現実的なスケールを逸脱しない。それは爬虫類を飛行させるとして、これ以上の体長となれば骨格や筋肉の構造上の理由から飛行が困難だとされるからだ。また、シロベーントカゲが実験の対象とされるもう一つの理由は、体構造の中に飛行するための必要であったとされる箇所(肩部骨格や骨密度、果ては使用できる筈も無い魔術神経等)が多数存在するからである。飛行生物研究学会において、飛行能力が生物進化の過程でオミットされていった結果なのでは無いかという説が発表された事は読者諸兄も記憶に新しいのではないか。

 今回確認された推定ドラゴンは我々の既存研究を大きく揺るがす事件であろう。

 次頁からはいよいよ、ツィーギー・ライトの証言を元に、確認された推定ドラゴンの実態を探って行くものとする。


【総合魔法研究誌「魔法の礎」第16180339887号 より抜粋】

一匹と2 in 1が人里に下りてきた、やっと、やっと何かが始まる予感

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ