神の望む異常な日常~恋愛~
いっえ~い!
最初っからハイテンションでお送りしますします!
私が誰かとは聞いてくれるな。
どこからどう見ても神である。
とある高校の制服を着て、色素が薄い髪を肩あたりまで伸ばし、スタイル完璧な、それなりの美少女ビジュアルになっているから、ちゃんと妄想よろしくね!
K・A・M・I。KAMI、KAMI、KAMI、GOGOGOー!!
リズムをつけて歌ってみよう!
きっと最高の気分になれるよ。保証はないけどね。
あっ、もう学校の前に来ちゃった。
ここらへんで独り言はやめておこっかな。
え? 何で、朝六時から公道で大声出してるのかって?
気にしない気にしない。
すれ違ったトラックの運転手さんが、怪しい目で見てきただけだから。
教室に入ると、すでに登校している生徒は一人だけだった。
「あっ、唄華ちゃん、おはよう!!」
そういって、何かの作業をしていた手を止め、その少年は私に声をかけた。
「おはよう」と、返しながら、え~っととなる。
ぼさぼさな髪に、低身長で眼鏡。あと手にもつアニメキャラのシャーペン。
楽士くんだねと、三秒かかってやっと認識。
人はみんな似たようなものだから困る。
もう少し、個性を主張したほうがいいと思うなぁ。
でも、楽士くんはまだわかるほう。
『彼』の友達でもあるし、今回の作戦の立案者でもある。
私は自分の鞄を机に置くと、楽士くんのもとに駆け寄る。
「楽士くん、うまく行くと思う?」
「うまく行くかは問題じゃない。どれほど面白くして、楽しめるかだよっ」
そう言い、にやっと笑う。
うん、やっぱり楽士くんのこういうところ神と気が合うなぁ。
今回のこれ、実は『彼』への告白をするためのもの。
まぁ、でも本当はこんなことしなくてもいいんだけど。
だって私は神だし、神が好きな人を落とせなくてどうする。
めんどくさっくてすぐにやめちゃったけど、三十年くらい縁結びの神をした経験もある。
だから、これはお遊び。
とっても、楽しそうだから。
『彼』の驚く顔が大好き。
だから私は異常を望む。
この平凡な退屈でマンネリ化してしまう日常に、すてきな異常を加える。
「へへへ、こうすればいいのかな」
「おう!! なんと素晴らしい!! イッツ、パーーーー-フェクト、ビューティフル~!!」
私がくるりと回ると、楽士くんは鼻血を吹いた。
今着ているのは、楽士くんお手製のメイド服だ。ミニスカで、ちらリズムらしい。
「さあ、早く早く。この中に入って」
「うん!」
私はいそいそと、大きなプレゼントボックスに入る。
既にだんだんと教室に人が増えてきたが、彼らの呆れた視線なんて気にしない。
彼が来る! 急がなくちゃ。
ぱたり、と箱が閉じられ真っ暗の中、私はくすくす笑う。
彼が自分の席があるところに置かれているこの箱に気づいて開ける。そしたら、私が出てきて「プレゼント、フォユ~。大好き! 付き合ってください」と彼の胸の中に飛び込むのだ。
こんなこと、アニメや漫画ならあり得るけど、現実じゃあ滅多にないでしょ?
だからこそ、こんなにわくわくする。
毎日同じことをするなんて、平凡な日常なんて、神の私にはつまらなすぎる。
だるくなって、面白半分に人の願いを叶えるのをやめてから幾百年。
この日常に異常を加えることが楽しくて仕方がない。
彼がいてくれる、私を見て、私に驚いて、私に呆れて、私に怒って、くるくる変わる彼の表情を今日も見ることができる日常が大好きで大好きでしかたがない。
だから、もっととびっきりの異常を。
私とあなたの日々が、つまらない平凡の連続に埋もれてしまわないように。
『わっ! なんだこの箱……』
彼の声に、私は飛び出す。
今日も、明日も、明後日も、彼との異常な日々を――私は愛している。
不意に書きたくなったので書いてみましたw
本編はシリアスが多めなので、こういうほのぼの(?)日常編ももっと書きたいです。
神様は好き勝手動いてくれるので、超書くのが楽です……