003
「華夜さま、いい加減にして下さいっ」
昨日は、夜遅くまで夜風にあたり、寒くなってきたので部屋に戻って、寝る準備をしたが、なかなか眠れず、無理やり寝たため、眠りが浅く早起きしてしまった。辺りはまだ薄暗く、朝日が昇りきっていない状態の時間帯。
昨日、会ってしまった人も気になったため、また縁側にいこうと歩いていたときだった。しずねさんの、迫力のある声が聞こえてきた。不謹慎だとは思いながらも、ただごとではない様子ではないような気がして、のぞいてみると誰かと話しているんだということが分かった。
(・・・かや、さん?)
確かにそう呼んでいた。きっと、電話の相手の名前なのだろう。しずねさんの息子さんとかだろうか?いや、しずねさんは確か、結婚していないはず。
(それなら、いったい誰なんだろう・・・)
そんなこんなで、しずねさんは朝からずっと機嫌が悪い。この屋敷に泊まりで雇われているお手伝いさんも、こそこそと、今日のしずねさんのことに関して色々と愚痴を零していた。何か、嫌味なことでも言われたのだろう。
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「鈴子さんっ、その花は反対です。 まったく、センスがないなんて、そんなんじゃ満足に生けられませんよ!」
怒られた。いつもは、見逃してくれるところも、今日は一々厳しい。