対戦
侵攻側
黒峯真誠、彼は異常な程の魔術刻印で異様に塗り潰された、剣と一丁の銃を腰に携え、長い廊下の上で身構えている。
彼の視線が見据える先からは、矢が飛んでくる・・・
彼は体を少し捻ってかわしてから、ヒュガッ、という音と共に通り過ぎていく矢に視線を戻すと同時に矢は爆発した。
ドッオォォーン
その音を聞きながら身震いした彼は、
「そうこなくっちゃなぁ!」
笑いながら呟き、駆け始める、
「あいつらにだけは負けらんねぇ!」
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倉石蔵人、彼は一年教室内で、魔方陣の描かれたグローブを拳にはめ、剣を構える敵と相対していた。
彼らは少しの間睨み合っていた、そして、その均衡が崩れたのはすぐのことであった。
相手が、ふっ、と息を吸い、刃を低く構えて、懐に飛び込んできたのである。
彼はそれとほぼ同時に拳を構え直し、グローブに魔力を込める、すると魔方陣が淡く光り、硬化・強化魔法「ストレンジ・ハード」が発動する。
硬化されたグローブで刃を受け止め、受け流すように拳をズラす、すると力の行き場所を失った剣に振り回されるように相手の身体が突き出てくる。
その隙だらけの胴体にカウンターを叩き込む、するとその相手は膝から崩れ落ち、体が倒れ、気絶していた。
彼は長年の経験から体得した、戦闘の勘、直感を信じて戦い、勝利した。
そして彼は言い放つ、
「まずは一人目!」
次の敵を探しに廊下へ飛び出していく。
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岸楓、彼は玄関ホールで魔術刻印の刻まれた剣を構え、魔方陣の描かれた靴を履いている。
切り揃えられた黒の長髪、端正な顔立ち、その風貌からも彼は女生徒からの人気が高い。一部の女生徒たちは、ファンクラブを作っている程だ。
そんな彼も今は一人、しかも、3対1で囲まれている。
敵の一人は弓、二人は剣を構えている。
彼は敵が動いてこないのを見ると、構えを変え、
「エルゴ デ トゥルー バリス」
彼が詠唱を終えると、靴の魔方陣が輝き、円形に囲まれているという陣形を逆手にとって、円移動加速魔法「サーキット・トライアル」を発動させる。
剣を寝かせて構えていた彼は、高速での移動を行っただけで、敵全員を薙ぎ払い気絶させていた。
「まあ、こんなもんかな。」
短調に呟くと、再び侵攻を開始する。
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補足すると、彼らは魔法を扱って戦っている。
魔法とは、体内で魔力を精製し、魔力構子に変換、属性を持たせ、魔方陣、詠唱によって方向、位置を決定し、発生させることで現象に干渉させることである。
(火魔法なら、魔力構子を火属性に変換し、燃焼という現象を干渉して発現させる。)
初めの爆発も、基本魔法の結界内に火魔法を圧縮し込めることで威力を一瞬で爆散させる術である。
硬化・強化魔法は拳に魔力を集中させ、魔方陣を発動させることでグローブに硬化・強化という現象を発現させたのである。
加速魔法も上と同じで、足に魔力を集中させることで、加速という現象を起こしているのである。
詠唱の場合は、構子を集中させ、硬化・強化なら位置、加速なら位置と方向を決めることで、硬化・強化を発現、踏み切ることで起きる加速を増幅させているのである。
彼らは、いつもなら親友であり、それぞれが隊を率いる部隊長だが今回は違った。
それはなぜかというと、入学式にまで遡る必要がある。




