ガールズトーク(六百文字お題小説)
沢木先生のお題に基づくお話です。
「ガールズトーク」と「ランキング」をお借りしました。
出島蘭子はある中堅建設会社のOLである。
営業一課に配属され、営業補助の仕事をばりばりこなす期待の新人である。
営業一課には先輩社員の香と律子がいて、時々帰りに居酒屋に行き、ガールズトークに花を咲かせる事もある。
蘭子は実は同じ営業一課の一年先輩の須坂君が気になっている。
最初は須坂君のアタックを鬱陶しく思っていたが、須坂君が身を引いてしまうとそれはそれで寂しいのだ。
(須坂先輩、押しが足らないのよ)
そう言いたい蘭子だが、さすがにそれは須坂君に失礼だと思うから言わない。
「蘭子ちゃんてさ、好きな人とかいないんだっけ?」
無神経が服を着て歩いているような律子が単調直入に訊いて来た。
香は口にこそ出さないが、興味津々の目をしている。
「いますよ、もちろん」
蘭子は苦笑いして応じた。
「ええ? 誰誰? もしかしてさ、いけない恋?」
律子が目を輝かせて言う。
「違いますよ、平井課長や梶部係長じゃないです」
営業一課の男はその二人を除けば全員独身だ。
「藤崎君はダメだからね」
律子が真剣な目で言った。蘭子のフレッシュさに危機感を覚えたらしい。
「藤崎先輩は律子先輩とラブラブじゃないですか。違いますよ」
そう言われて照れる律子はキモいと香は思った。
「じゃあ、ランキングつけてみない、一課の男共に」
酔いが急速に回って来た律子がニヤニヤして提案した。
「もちろん、一番は藤崎君よね」
それが言いたかったのか。香と蘭子は顔を見合わせて苦笑いした。
お読みくださりありがとうございました。