2人の秘密
連れて行かれたプレハブ小屋にはダイヤル錠がかかっていた。高木さんは慣れた手つきでダイヤルを回していく。555。あまりにも簡単すぎないか?
「こっちのほうが逆に安全なのよ」
高木さんはそう言うとプレハブ小屋の中へと入っていった。
「失礼しまーす」
僕もあとに続く。そこには意外な光景が広がっていた。部屋に敷かれた赤色の絨毯。真ん中に置かれた丸机。飾られているねいぐるみ達。
「ようこそ、私の秘密基地へ。あ!靴は脱いでね」
マドンナと秘密基地、まったく結びつかない組み合わせがそこにはあった。
「どうぞ、ここに座って。お菓子食べる?」
僕は言われるがままに座り、差し出されたクッキーをぼりぼりと食べた。高木さんは机を挟んで僕の向かい側にあぐらをかいて座った。
「なにか言いたそうね?」
「ごめん、いろいろと理解が追いつかなくて......」
「私ね、1人でいるのが好きなのよ。でも学校生活だとそういうわけにはいかないじゃない?もちろん、友達といる時も楽しいんだけど、たまーに、無性に1人になりたいときがあるのよ。それが抑えられなくなったときにここに来てる」
「そうなんだ。それにしてもえらく本格的な秘密基地だね。まるで部屋だ。水を差すようで悪いけどバレたらやばいんじゃない?」
「大丈夫。ここ叔父さんの所有地だから。ちゃんと許可もらってる。聞きたいことはそれだけ?」
「あ......まあ」
「じゃあ次はわたしね。早川君が今着てるそのちんちくりんな服は何?」
「えっと.....その......」
このスーツのことをペラペラ人に喋っていいものなのだろうか?
「ちょっと!わたしは秘密を喋ったわよ。自分は喋らないなんてずるいんじゃない?」
高木さんは不満そうな顔をしている。
「わ.....わかった、わかった。ちゃんと喋るよ」
僕は昨日の夜起こったことを高木さんに語り始めた。




