コーラヲクダサイ
その異形の生物がどのような姿をしているのか。僕の少ないボキャブラリーを駆使して説明しよう。
顔の形状はお花に似ている。しかもチューリップやアジサイのように明るいかんじではなくラフレシアのような毒毒しいかんじの花だ。目はなくかわりに無数の牙が顔のほとんどを占めている。体つきは人間のそれに近いのだが全体的に細長く、少しさわれば折れそうなほどだった。
その化け物はうめきながら僕を見ている。
はやく逃げなければ.....
本能で危険を察知した僕は化け物から背を向け、走りだそうとした。しかしその時......
「タ......ス.....ケ......テ」
その言葉をきいて僕の体はぴくりと止まった。
走れ!走れ!あれは嘘に決まってる。そのまま近づいた僕を食べるつもりに違いない。
もし苦しんでいるのが本当だとしてもあんな化け物を助けてなんになる?元気になったらやっぱり僕を食べるに違いない。
「タ......ス......ケ......テ」
僕は大きなため息をついた。どうやら僕は自分が思っているよりいいやつらしい。
「大丈夫か?立てるか?」
僕は化け物に肩をかすとベンチへと座らせた。
「コーラ......ガ.....ノ......ミ......タ......イ......」
「コーラ??」
僕は耳を疑った。こんな見た目のやつから発せられるとは思えない単語だ。
「ちょっと待ってろ」
僕は近くの自販機でコーラを買った。知らないうちに180円になっておりなんとなく悲しくなった。
「ほら、買ってきたぞ。飲めるか?」
「ノ.....マ.....シ......テ」
なんてわがままなやつだ。
ぼくはとりあえずほぼ顔と言っていい大きな口の中にコーラをドボドボと注ぎ込んだ。するとどうだろう?さっきまでしょぼくれていた化け物はみるみるうちに元気になった。
「アリガトウ、タスカリマシタ。ヤハリコーラハバンノウノクスリデス」
「別にいいけど.....君はいったい何者なんだい?」
「ワタシハコスモスセイジン。アルシメイヲオビテチキュウニキマシタ」
なんと僕の目の前にいるのは宇宙人らしい。コスモス星人、コスモスは花もあれば、秩序という意味もある。こんなにコスモスという名前が似合わないやつもいないだろうなぁ
僕はそんなどうでもいいことを考えながら宇宙人とのファーストコンタクトを果たしてしまった。




