2人でソフトクリーム
「ちょと、大丈夫?」
フラフラして立つのもままならない僕を高木さんが支えてくれた。
「あぁ、大丈夫大丈夫。ちょっとあっちのベンチで休ませて」
実は僕は絶叫系というものが大の苦手なのだ。じゃあどうして乗ったのかって?そりゃあ高木さんにいいところを見せたかったからだ。それに大丈夫だと思ったんだ。だって今の僕はスーツを着ているのだから.....でも全然だった。いまいちこのスーツのことが分からなくなってきたぞ。
「ここでいい?座れる?」
僕はベンチまで連れて行ってもらうとそのまま座り込んだ。
「もー、ダメならダメって最初に言ってくれたらいいのに」
「ごめん、ごめん。でも大丈夫。ちょっと休んだら元気になるから」
「ほんとかなー、じゃあ私、あっちの売店に行ってくるね」
高木さんの後ろ姿を見ながら僕はため息をついた。こんなはずではなかった。こんなはずでは.....
ベンチで10分ほど休んでいると高木さんが戻ってきた。両手にソフトクリームを持っている。
「どう?少しはマシになった?」
「だいぶマシになったよ、ハハ」
「そっか、それはよかった。それじゃあ.....はい」
高木さんは手に持っていたソフトクリームの片方を差し出した。
「これ食べて完全回復だ」
僕は高木さんと横並びでソフトクリームを食べた。僕は普通のソフトクリーム、高木さんはチョコレート味だ。
「ありがとう。むちゃくちゃおいしい。お金は後で払うから」
「いいよ、これくらい。ただでゆめパーク連れてきてもらったようなもんだし」
「そっか、じゃあ遠慮なく」
僕はソフトクリームにかぶりついた。
「ねえ?」
なぜか高木さんは僕をじっと見ている。また何かしてしまったのだろうか?
「やっぱりチョコ味も食べたくなっちゃった。ちょっとちょうだい」
「え?い.....いいけど」
間接キスみたいになっちゃうけど大丈夫ですか?という言葉が喉の奥まで出かかったがなんとか抑えた。僕は常に成長しているのだ。
僕がソフトクリームを差し出すと、高木さんは何の躊躇もなくかぶりついた。
「やっぱりチョコもいいね!じゃあ、はい」
高木さんは僕に自分のソフトクリームを差し出してきた。
えっと、これって......そういうことだよね?
僕は高木さんの差し出したソフトクリームを一口食べた。ミルクの濃厚な味と高木さんの味がしたような気がした......分かってる!自分でも気持ち悪い表現なのは分かってる!
「うん!美味しい!」
僕は高木さんに向かって精一杯の笑顔を向けた。
「そっか。これ食べたら次は何に乗ろうかねー」
僕は高木さんとソフトクリームを食べながら次に乗りたいアトラクションの話しをした。




