最愛は、顔も知らずに離婚した敵国の夫・妻です。

――五年間よく耐えたわ。


アーガスタ王国とバラッタイン王国の十年に及ぶ戦争――その終結の象徴として、和平目的で政略結婚することになったデイモン・エジャートンとミレイユ・タウンゼント。


元敵国同士の結婚は上手くいくわけがなく、嫁いできたミレイユはエジャートン大公家から冷遇される日々を送っていた。


それでもミレイユがなんとか我慢してこられたのは、婚姻と同時にデイモンと交わした「五年後に離婚する」という約束があったから。


息抜きに、酒場のリュート弾き「フレジコ」として振る舞いながら、離婚日を待ち望むミレイユ。しかし、傭兵・ダンとの出会いが彼女の運命を変える。


大公夫人とフレジコの内緒の二重生活を送るミレイユだったが、ダンもある秘密を抱えていた。やがて二人は惹かれ合うようになるが……。


――一体どういうことなの！？


これでやっと幸せになれると思った離婚日の当日、驚愕の真実が二人を引き裂いていく――。


ミレイユは愛する人との絆を再び結ぶことができるのか！？