第39話「君と再会するまで、現実は色彩に溶けていた」第三部
世界は不透明な色調で描かれているようで、ノスタルジックなベージュのパレットに支配されていた。山のふもとを流れる小川の穏やかな音が、絶え間ない蝉の鳴き声と調和して混ざり合う。頭上では葉がザワザワと鳴り、枝が風に揺れて踊り、あの夏の日の忘れられないメロディーを奏でていた。
背中を覆うほどの長い黒髪の小さな少女がそこにいた。暗い髪の房が、小さな白いワンピースをほとんど隠している。岸辺の近くで膝をついてしゃがみ込み、髪を顔の前に垂らしながら、彼女の幼く好奇心旺盛な瞳は、澄んだ水流が石を伝って流れるのを観察していた。
小さな甲虫が、湿った岩をそびえ立つ山々であるかのように、一生懸命に登っていた。その小さな少女にとって、宇宙全体がその昆虫の単純な存在に集約されていた。
バシャッ!――突然、野球ボールが激しく水面を叩き、銀色の水しぶきの間欠泉を四方に巻き上げた。水は少女のすぐそばをかすめて飛んでいく。その大きな驚きに彼女は後ずさりし、突然の動きに驚いた甲虫は羽を広げて飛び去ってしまった。
「待って……」彼女は呟き、宙を舞うそれを捕まえようと小さな手を無駄に伸ばした。
少女はうつむき、不満げで甘えたような唇を尖らせた。だがすぐに、彼女の注意は再び小川に向けられ、落ちたばかりの野球ボールに焦点を合わせた。
トコトコ。彼女は水際まで短い歩みを進める。小さな白いワンピースはかかとの近くまで達しており、ボールは遠く離れた場所で止まっていた。水流の中に入らなければ、物理的に手が届かない。
服を濡らさないようにワンピースの生地を上に引っ張り上げながら、彼女は最初の一歩を踏み出すのをためらった。足にはまだサンダルが履かれている。
柔らかい草の上に座り込み、少女は愛らしい繊細さと多大な努力を交えながら靴を脱いだ。
「よしっ!」その小さな顔には今や、自信に満ちた眼差しが浮かんでいた。
彼女は足を伸ばし、つま先で水面を確かめた。ピチャッ。
「冷たっ!」反射的に足を引っ込める。しかし、彼女の瞳は再び、先にある石に引っかかった野球ボールに釘付けになった。水流は弱く、水位も低すぎるため、おもちゃが下流に流されることはなかった。
勇気を振り絞り、彼女はもう一度温度を確かめた。温度差が肌を粟立たせたが、恐怖に打ち勝ち、小さな少女は浅い川底に小さな足を沈めた。チャプン。
大人にとっては取るに足らない深さだ。しかし彼女にとっては、氷のような水がかかとの高さまで達していた。
大惨事を防ぐためにワンピースをしっかりと握りしめ、丸い物体の前で立ち止まるまで、彼女はゆっくりと極めて慎重に歩みを進めた。ワクワクした笑顔が彼女の顔を明るく照らす。
だが、その熱狂は長くは続かなかった。恐ろしいジレンマがすぐに立ちはだかったのだ。両手は服の裾を持ち上げるのに塞がっている。どちらかの手を離せば、生地が汚れてしまう。
それは純粋に子供じみた悩みだった。しかし、子供の心にとって、その状況は生死を分けるほど致命的な規模を帯びていた。
「どうしよう……?」
青ざめた顔が泣きべそをかいて歪む。敗北感に満ちたため息が彼女の唇から漏れた。ワンピースを完璧に保ちたいという思いが勝り、英雄的な救出のアイデアを諦めざるを得なかった。
彼女が振り返ったまさにその瞬間、彼女の目は新しい人影を捉えた。
周囲の景色は広大だった。斜面の細い道まで続く開けた野原に、ぽつぽつと孤立した家々が点在している。背景には巨大な緑の山々に縁取られた街のシルエットが見えた。その素朴な絵画のまさに中心で、草の海を切り裂きながら、一人の少年が全速力で走っていた。タッタッタッ!
少女はその場で凍りつき、冷たい水がまだ足を洗う中、近づいてくる少年を観察した。彼は明るい茶色の短髪と、鋭くエネルギッシュな目をしていた。落ち着きのない小学生特有の服装――暗い色の短パンに、間違いなくテレビで全エピソードを貪るように見ているであろう特撮ヒーローのTシャツを着ていた。
「おい、お前!」少年は威圧的に聞こえるほどの高い声で言い放った。「野球ボール見なかったか?」
黒髪の少女はただ頷いた。言葉は完全に口から逃げ出し、彼女の小さな肩は防御の姿勢で縮こまった。
その無言の答えは、少年の表情に即座の安堵をもたらした。
「マジで?どこ?」彼は興奮をあふれさせ、純粋な輝きをその目に宿して尋ねた。
恐る恐る沈黙を保ったまま、彼女は首を回し、自分のすぐ後ろの水面に休んでいるボールを指し示した。
「ああ……」濡れた物体を目にして状況を理解した彼は呟いた。「取ってくれないか?」
その頼みは彼女を驚かせた。彼女はずぶ濡れのボールを見つめ、すぐに不安げな目を少年へと戻した。彼はあの鋭い眼差しのまま、揺るぎない自信に満ちた笑顔を浮かべていた。自身の内気さに沈み込んだ少女は、さらに身を縮めた。
助けたいという欲求は彼女の心の中で大きかった。しかし、彼女の両手はワンピースを守るという許されざる使命に縛られたままだった。真っ白な服を汚せば、母親の怒りと長い説教を招くことになる。
彼女の視線は熱狂的な振り子のように交替した。ボールを見つめ、少年の顔に上がり、再びボールに下がり、また彼に戻る……。絶望が彼女の表情を支配した。涙が目の縁に溜まり始める。声は聞き取れる言葉を形成するのに完全に失敗し、苦しげな小さなうめき声だけが喉から漏れた。それは、乗り越えられない壁の前に追い詰められた者の、くぐもった呟きだった。
少年は、彼女を支配している深い苦悩と優柔不断な麻痺に気づいた。批判の言葉を一つも発することなく、彼はアニメのキャラクターがプリントされた赤いスニーカーを素早く脱いだ。そして、二度考えることなく冷たい水の中へと足を踏み入れた。バシャバシャ!その突然の行動に、彼がそんな風に犠牲になるのを見た小さな少女の絶望は新たなピークに達した。
彼はしゃがみ込み、濡れたボールをしっかりと掴んだ。彼女の方へ顔を上げ、その日一番のまぶしい笑顔を向けた。少女は短い瞬間、反応する能力を失った。胸の中の嵐は次第に収まり、安堵の小さな微笑みが彼女の唇に咲いた。
(そう……私にも、はっきりと覚えている。)
投球の際にボールは彼女の手から滑り落ち、数メートル後ろに落ちた。
「わりぃ!」野原の向こう側から少年が叫んだ。
彼女は体の前で両手を合わせるぎこちない姿勢のまま、楽しそうに走った。ボールの前で立ち止まると、しゃがみ込んでおもちゃを拾い上げる。素早く立ち上がり、彼のすぐ近くまで走って戻った。そして、不器用な勢いで投げた。ボールは少年の足元のすぐ手前の草で跳ねた。ポーン。
彼女は息を切らし、走ったことで心臓が速く鼓動していた。
すると彼は笑った。伝染するような、純粋な笑い声だった。
「さっきよりずっといいぞ!」
彼は数歩進んで球を拾い上げ、投げ返した。華奢な姿勢にもかかわらず、少女はそれが落ちる前に胸にしっかりと抱え込むことができた。バシッ。
彼女の顔に幸福感に満ちた笑顔が描かれ、最も純粋な子供の誇りが溢れ出した。彼もまた、同じ強さと喜びでそれに応えた。
(あの長い夏の日々……孤独だけが、世界で私の唯一の道連れだった時代。それなのに、健ちゃんはいつも現れてくれた。毎年。来る夏も、来る夏も。)
記憶は時を進めた。少し成長した少女は、相変わらず黒髪を顔に反抗的に垂らしていた。
彼女は木製のベンチに座っていた。昔遊んだあの野原のすぐ近くだ。景色は進化し、かつて空っぽだった風景を新しい家々が埋め尽くしていた。そこはバス停だった。少女は不安げに待っていたが、彼女の待つ相手は乗合自動車の到着などでは決してなかった。
彼女の目は地面に伏せられ、悲しみと静かな疲労の濃い混合物を宿していた。その無気力は、頬に触れた金属の氷のような冷たさによって突然破られた。ヒヤッ!その驚きに彼女は怯えた猫のようにベンチで跳び上がり、鋭い悲鳴を喉の奥に押し殺した。数秒後、背後でとんでもない大爆笑が弾けた。
「わりぃ……マジでごめん……」成長した面影を残す少年は、自分のお腹を抱えながら身をよじって笑っていた。
「意地悪だよ、健ちゃん!」彼女は愛らしい憤りの仕草で頬を膨らませて抗議した。
「ごめん。じいちゃんたちが兄貴の昇進祝いを今日早いうちにやるって言い張ってさ、だから遅れちゃったんだ」彼は言い訳をし、冷たい結露に覆われた缶を彼女の方へ差し出した。
彼女は飲み物を受け取り、両手でアルミ缶を握りしめた。彼はベンチの彼女の隣の空いた席に座った。
「千ちゃんも来ればよかったのにって言ってたぞ」
少女の顔はたちまち真紅に染まった。
「わ、私……健ちゃんの家族の他の人たちと一緒にいるのは、まだ恥ずかしくて……」
彼は安心させるような笑顔を見せた。
「心配すんなよ。大勢いるわけじゃない。俺の両親と兄貴、それにじいちゃんとばあちゃんだけだ。いつも通りだよ、千ちゃん」
内気で引っ込み思案な表情が和らぎ、彼女は心からの笑顔を浮かべた。
(健ちゃんはいつも現れてくれた……私だけのために。)
(健ちゃんの家は松本からすごく遠かった。それなのに、毎年夏休みになるとおじいちゃんたちの家に遊びに来ていた。健ちゃんは、私の初めての友達だった。)
愛情深い奔流となって、記憶が彼女の心に押し寄せる。自由に走り回る二人の子供。午後の時間を彼女の家の庭と彼の祖父母の家の縁側で交互に過ごした。年月が過ぎても、その季節の神聖な力によって距離は打ち砕かれた。二人は常に離れがたい存在だった。直接遊べない時でも、絶え間ないメッセージのやり取り、長時間の電話、くだらない冗談に満ちた動画を通じて、その絆は生き続けていた。
「なんで前髪切らないんだ?」少年の声は好奇心に満ちていた。
夏はまだ支配を続けており、年齢はさらに一つ重なっていた。彼らはすでに中学校の真っ只中にいた。
「私にも、よく分からない……」彼女は低く内気な声で答えた。彼女の長くて黒い髪は背中にそのまま下りている。言うことを聞かない前髪は、厚いカーテンのように振る舞い、彼女の表情の大部分を隠し続けていた。「前髪を押さえようとして眼鏡をかけてみたこともあるんだけど、いつも毛先が滑って落ちてきちゃうの……」
二人は日中の暑さを追い払うためにアイスクリームを味わいながら、賑やかな街の中心部を歩いていた。彼女は指先で頑固な前髪の束を引っ張る。彼女の横で、彼は分析的な注意深さでそれを観察していた。突然、彼の歩みが縁石で止まった。ピタッ。
彼女は隣に彼がいないことに気づき、体を向けた。
「健ちゃん?」
小さなアクセサリーショップのドアから彼が出てくるのを見つけるまで、ほんの短い混乱の瞬間しか必要なかった。
「千ちゃん、目つぶって」彼は両手を隠したまま近づきながら頼んだ。
「え?どうして?」
「今回だけは言うこと聞いてくれよ、頑固者」
「分かった、分かったよ……」
彼女は目をきつく閉じ、顔を真っ赤に燃やした。額の黒い髪を避ける彼の指の柔らかく温かい感触を肌に感じ、全身が即座に震えた。彼女の唇はわずかに震え、胸の奥で心臓のリズムが加速した。ドキドキ……
「開けていいぞ」
まぶたがゆっくりと持ち上がる。彼女が最初に気づいたのは、世界の鮮明さだった。暗い髪のカーテンはもはや視界を遮っていなかった。彼女を待っていた優しい笑顔が、残りの景色を埋め尽くした。
彼はさりげなく横へ首を向けた。少女がその仕草を追うと、店の巨大なガラスのショーウィンドウに映った自分自身の姿と向かい合った。シンプルで繊細な白いカチューシャが彼女の頭の上に完璧に収まり、反抗的な髪の毛を束ねて、彼女の瞳を完全にあらわにしていた。
「どう?」
抑えきれない感情に、彼女の唇はもう一度震えた。それを歯で優しく噛み締めながら、彼女は大きく輝くような笑顔を表情いっぱいに浮かべた。
「すごく気に入った……」
「そりゃよかった!」彼は満足感を声ににじませて叫んだ。
(私はあの日々を、決して忘れることはできない。)
記憶が千尋の脳裏に流れ込み、街の通りを再び歩き始める二人の鮮明なイメージをもたらした。言葉を交わし、微笑み合い、最も純粋で伝染するような若々しい幸福感を漂わせていた。
(決して忘れない……あの最初の出会いの瞬間から、私がずっと健ちゃんを愛していたことを。)
おはようございます、こんにちは、こんばんは、わるです!
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