第37話「君と再会するまで、現実は色彩に溶けていた」第一部
生徒たちのざわめきが、絶え間ない波のように響いていた。交差する会話、不安げな呟き、そして突然の歓声。その分厚い音の壁は、セミの鳴き声を完全に掻き消していた。いつもなら、彼が注意深く耳を傾けるその喧騒すらも。
終業のチャイムが鳴る直前。通常なら廊下はすでに無人で、皆が自分の席についている時間だ。しかし今日は、夏休み前の最終登校日。期末試験を突破した者たちにとっての祝祭の日である。そのため、中庭は白いシャツと暗い色の制服のズボンやスカートが鮮やかなコントラストを描き、まるで落ち着きのない蟻の群れのようになっていた。
その人混みの中、緑色がかった瞳が掲示板を忙しなく走っていた。彼女は熱病に浮かされたかのような真剣さで、文字の列を追い、特定の名前を探していた。
「秋……秋……秋……」
真琴は視線が漢字を通過するたびに、呪文のように囁いた。緊張の数秒後、彼女の目が驚きと完全なる安堵に大きく見開かれた。
(あたし……受かってる……!)
「由美ちゃん、あたし受かってた!」
バッ!
真琴は両手を高々と挙げて歓喜を爆発させると、次の瞬間には隣にいたオレンジ色の髪の親友に激しく抱きついた。
ギュウウウッ!
「ぐっ……」肺から空気を強制的に押し出され、由美から苦悶のうめき声が漏れる。
「当然でしょ……」
死の抱擁から抜け出しながら、由美が文句を言う。
真琴は落ち着きなく、顔の前で手を振りながら、不器用でハッピーなダンスを踊ってその場でピョンピョン飛び跳ねていた。対照的に、由美は腕を組み、得意げな表情で視線を逸らした。
「何しろ、彼氏さんがあたしの親友の勉強をだいぶ手伝ってくれたんだしね……」彼女は尊大な口調で、髪を後ろに払いながらからかった。
「えっ?」
ピタッ。
真琴の動きが凍りつく。
「聞こえた通りよ!」由美は純粋な嘲笑を顔に浮かべて彼女を見つめた。「チュッ。チュッ」大げさに唇を尖らせ、両手の指をくっつけて派手なキスシーンを模してみせる。
「や、やめてよ!」
カアアアッ!
真琴の顔が沸騰したように赤く染まる。親友の恥ずかしい真似を止めさせようと、宙で必死に手をバタバタと振った。
そのふざけ合いは、肩に突然の重みを感じて中断された。驚いて振り返ると、そこには短い黒髪の男子が立っていた。
「秋山さん……」
颯太が口を開く。その声は低く、異常なほど深刻だった。彼の眼差しは焦点を結び、揺るぎなく、ほとんど恐ろしいほどの決意に満ちていた。
「竜斗は……キス、上手いのか?」
「なんであんたがそんなこと知りたいのよ!?」
ガシッ!
彼女の肩を掴む彼の手の力がさらに強くなる。
「秋山さん、俺に答えてくれ!」
「キモいっ!」
「キモいのは、学校のど真ん中でイチャついてるお前らの方だろ……」
颯太のすぐ後ろから、呆れたような第三の男の声が響いた。「この変態どもが!」
武が純粋な嫌悪で顔を歪めながら、彼女に向かって非難の指を突きつけて現れた。
「で、あんたはそれをわざわざ言いふらさないと気が済まないわけ!?」真琴は憤慨して言い返した。
「あんたがそうやって大声で叫び続けてたら、結局みんなにバレるのも時間の問題だけどね……」背後で由美が、感情の欠片もない単調な声でコメントした。
秋山の肩をしっかり掴んだまま、颯太の深刻な表情が一瞬にして崩れ去り、あっという間に元に戻った。あの恐ろしいほどの決意は、カジュアルな好奇心へと取って代わられた。
「あ、そういえば、竜斗どこ行った?」彼は彼女を放し、後ろの武を振り返りながら尋ねた。真琴が混乱して首を傾げると、武はただ無関心に肩をすくめた。
そこから離れた、建物の側面にある屋根の影。無気力な少年は、遠くの騒ぎを静かに観察していた。朝の陽射しから守られた孤立したベンチに心地よく座り、竜斗はまだ校舎のエントランスゲートすら潜っていなかった。膝の上には鞄が忘れられたように置かれ、彼と外界を隔てる見えない盾の役割を果たしていた。
(……あそこに行く必要はないな)
「成績、見に行かないの?」
柔らかい女性の声が、彼の隣の沈黙を破った。少年は顔を上げ、ゆっくりと左を向いた。
長い黒髪の少女の姿が視界に入る。繊細な眼鏡をかけ、白いカチューシャが前髪を完璧に揃えていた。唇に優しい微笑みを浮かべ、両手を後ろで組んで自分のスクールバッグを持っている。
「南さん……」竜斗は呟いた。その声には彼がどれほど自分の思考に没頭していたかを示す、純粋な驚きが混じっていた。しかし、すぐに彼の視線は再び遠くの騒がしい中庭へと戻った。南はその機を利用してベンチに腰を下ろし、彼の隣に座った。
「あそこまで行く必要はない。僕が受かってることは、もう分かってるから」
「本当に自信があるのね」彼女は彼を褒め、口元を握りこぶしで隠して小さく控えめな笑い声を漏らした。
「自信という言葉とは程遠いと思うけど……」彼は目を細めて遠くを見つめながら口を開いた。「僕には、落ちるという選択肢が最初から存在しないだけだ」
「熱心な生徒としては、当然のことね……」彼女は、どこか諦めに似た疲労感を帯びた微笑みを向けた。
「ああ……」竜斗は答え、そして、微笑んだ。「君の言う通りだ」
ドキッ。
南の眼鏡の奥の瞳が、無言の衝撃に見開かれた。彼がこれほどまでに軽やかな表情を見せたのを、彼女は初めて目撃したのだ。彼女の知る竜斗は、無気力さが難攻不落の城壁を形成している、無反応な少年だったはずだ。
彼の視線の先を追い、南も一年生の掲示板へと顔を向けた。そこには、小さなエネルギーの渦の中心で、楽しそうに笑いながら話している秋山真琴の姿があった。
白いカチューシャの少女は、再び竜斗を見つめた。彼の顔を観察し、この大勢の生徒の海の中で、彼の視界と関心がただ一人の人物にのみ碇を下ろしていることに気づいた。
甘く、そして少しだけ憂鬱な微笑みが南の唇に咲いた。彼女は流れるような動作でベンチから立ち上がり、それが即座に竜斗の注意を引いた。
「わかったわ……」彼女は自分自身に囁いた。
「何がわかったんだ?」突然の反応に戸惑い、彼は片方の眉をひそめた。
カァァァッ!
南の顔が猛烈な赤に染まった。
「あ、いや!私……その……」彼女はあたふたと身振り手振りをした。言葉につまずくたびに声は小さくなり、羞恥心に飲み込まれていく。「私、もう行かなきゃ!」
タタタタッ!
返事を待たず、彼女は石畳をほとんど走りながら、遠くへと飛び出していった。ベンチに取り残された無気力な少年は、ただ彼女が逃げていくのを見つめ、この状況に完全に当惑していた。
(……本当に、何だったんだ?)
そこから少し離れた学校の大きな門のそばで、短い茶髪の少年が、竜斗と南のやり取りを黙って観察していた。
健太の目は細められ、深い疲労感で重く曇っていた。彼の指はスクールバッグの持ち手を握る力すらほとんどなく、それは彼の肩にだらしなくぶら下がっていた。
中庭で狂喜する生徒たちの渦や、掲示板に張り出された結果など全く意に介さず、彼はただそのすべての騒動に背を向け、引きずるような足取りで校舎の中へと歩いていった。
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