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16話 一緒に始める異世界生活

「俺の主になってくれるのか?」


「ああ。そうだな。言っておくけど、前の主みたいに偉大な魔法使いにはなれないからな?」


「いいよ!そんなのいらない!」


「そっか。じゃあ、君の名前を決めようか。

どんな名前がいいかなぁ…。」


覚悟を決めた俺は、もう一度問われてコクリと頷いた。

その瞬間、満開の笑顔が咲いて、俺も頬が緩んだ。

こんなにも幸せそうな悪魔、初めて見たな。


そう思いながら、契約のためにまず名前を考えることにした。

エマの時もそうだったけど、俺にはネーミングセンスがない。

だからといって、適当に決めるわけにもいかない。


何かこう、ビビッとくるものはないかな?

そう考えていたとき、そもそも契約のやり方を知らないことに気づいた。


「えーっと…そういえば…」


【使い魔の契約についてご説明します。

使い魔の契約には、主となるあなたと使い魔となる者の魔力と血液が必要です。

詠唱は次の通りです。

魂を結ぶ者よ、我が声に応えよ。汝に名を与え、契約と成す。

その名は・・・と名前を呼び、

我が影となり、共に歩めと続けてください。

詠唱が終わると魔法陣が現れます。

そこに魔力を込めた血液を一滴落としてください。

これで契約完了です。】


「おおっ…?ご、ご説明ありがとう、エマ。」


「ん?エマってなんだ?」


「いや、何でもないよ。

んー・・・やっぱり呼びやすいこの名前にしよ。

よし、じゃあやるよ!いい?」


「いつでもいいぞー!」


使い魔の契約方法をエマに教えてもらった俺は、いろんな名前を考えた。

でも、一番最初に見たときの色の印象が強く残っていて、それに決めた。

そして、エマの説明通りに、使い魔の契約を始めた。


「魂を結ぶ者よ、我が声に応えよ。汝に名を与え、契約と成す。

その名は…クロ。

我が影となり、共に歩め!」


「クロ…俺の名前……!」


詠唱が終わると、七色に光る魔法陣がその場に現れた。

本物の魔法陣に感動していると、体中から魔力が溢れてくるのを感じてハッとする。

その魔力を指先に込め、生成魔法で作ったナイフで人差し指を軽く切り、

ポタッと血液を魔法陣に落とた。

続けてクロも、自分の爪で皮膚を切り、ポタッポタッと血液を落とすと、

俺の手の甲とクロの体に魔法陣が浮かび上がり、スッと消えていった。


「これで…終わったのか?」


「ああ!これで俺は主のもんだからな!」


「そっか!改めてよろしくな、クロ!」


魔法陣が消えたことで、使い魔の契約は無事に完了した。

儀式が終わると、クロは嬉しそうに翼をパタパタと動かして笑っていた。


突然現れて「新しい主だろ」なんて言われたときは、どうしようかと思った。

でも、クロの笑顔を見ていると、この決断は間違っていなかった。

そう、心から思えた。

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