11話 サポート機能が起動しました
あれから、どのくらい時間が経ったんだろうか。
青く青春色だった空は、すっかり色を変え、オレンジ色に染まっていた。
やっぱり魔力無限とはいえ、能力が追いついていないんだろう。
レベル1だしな。
そんなにすんなり事は運ばないか。
とはいえ、何時間も魔法を使い続けると体が地味に痛くなる。
でも不思議なことに、魔力が減っていく感覚はない。
これが魔力無限の力ってやつか。
「もう少しかなぁ。」
そんなことを呟きながら、城の頂上を見上げていたその時だった。
【サポートを開始します。マスターはヨシヒロ…登録しました。
それではお知らせします。城の復元が終了しました。
連絡事項がありますので、ステータスの確認をしてください。】
「へ?今何か聞こえたよな?」
突然、頭の中に声が響いた。
驚いて辺りを見回すが、当然俺しかいない。
ということは、俺の中に何かいる?!
わけがわからず怯えていると、ヒラヒラとまた手紙が舞い落ちてきた。
手紙には、こう書かれていた。
転生者として選ばれた者には、
転生作業を担当した女神によるサポートAIが付与されています。
とはいえ、会話はできません。
何かあったときにメッセージを届けたり、
あなたが困ったときには一方的にアドバイスをしたりする役目です。
少しでもお役に立ちますように。
「へぇ…。AIって、あんたずいぶん現代的やね。
まぁ、そういうことなら分かったわ。
っていうか、さっきステータス確認しろって言ってたよな?」
手紙によれば、転生者にはその転生を手助けした女神から、
専属サポートAIが与えられているらしい。
ってことは、今の声の主はアイリス?
会話はできないけど、メッセージで助けてくれるならそれだけでもありがたい。
今の俺には、アドバイスをくれる存在がいるってだけで十分だ。
そんなことを考えながら、言われた通りステータスをオープン。
すると、画面上の数値が高速で回転を始めた。
「ちょ、ナニコレ!!
・・・ええっ!?レベル100?!なんで?!」
【特別な方法で建築された建物を復元したため、レベルが大幅にアップしました。】
「にしても、上がりすぎじゃん?」
あまりの急上昇にバグかと思ったが、レベルは100でピタリと停止。
驚いていると、AIがその理由を教えてくれた。
確かにこの城は、偉大な魔法使いが住んでいたと言われていたし、
特別な力で建てられた建物なら、こうなるのも不思議じゃないけど、さすがに引いた。
「でもさ、これレベルだけ高いんよな。
他の数値はちょっとだけ上がったって程度?
そういうもんなのか?まぁ、いいけど。」
突然のレベル上昇に驚いたけど、他のステータスは微増程度だった。
レベルと能力値って、必ずしも連動してるわけじゃないんだな。
でも別に困ってるわけじゃないし。
そんなことを考えながら、俺は出来上がった城を見上げ、大きく背伸びをして達成感を味わっていた。