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おまけのパン吉くん

パン吉です。

苗字はパン田。パン田パン吉って名前です。


性格は、コツコツ努力する真面目な方。

でも、小さい頃から体が弱くてみんなに優しくしてもらってるから、パン吉もみんなに優しくしたいなって思っています。


強い物はかっこいいなーって憧れちゃうほうです。


パン吉もパンダーマンみたいにいつかムキムキになって、右ストレート一発で大木とかを『ボカーン』(倒れる)って出来るような力が寝て起きたら備わってたらいいなーって…。

体鍛えたりとかすると、体が丈夫になる前に熱出して倒れちゃうからね!


でも、今年の受験は体調を崩さなくてよかったなぁ。

パン吉を憧れを体現してくれたようなマスコットぬいぐるみをちーちゃんが作ってくれて、それを持ってるとなんだか強くなったような気がして、熱に負けずに頑張れた感じがしました。

もちろん、無理はしないようにしたけど、いつもだったらこのまま高熱出ちゃう!って言うときにそこまで酷くならずに持ち直すことが出来て、本当によかったです。


体調が悪くなるとダメだから、本命校を受験するまでは体力を温存して、ってしていたら3校しか受験できなくて合格発表はすごく緊張しました。

でも、本命校に合格出来て、すごく嬉しかったです。去年はチャレンジも出来なかったから、特に。二年分の努力が報われた気持ちがしました。



パン吉の家族は、お母さんとパン吉。

あと、最近はちいくいんさんも家族の一人かなって思っています。

二人だけだと寂しい時もあったから、ちいくいんさんが来てくれて本当に嬉しいです。


お父さんはパン吉が小さい頃に亡くなってしまいました。

獣人テーマパークで働いてて、すごく人気だったみたいなんだけど、やっぱりアイドルみたいな仕事は体力を使うから、体調を崩して…。

家族の為に、って頑張ってたみたい。パン吉と同じで体が弱かったのかな。

今は人気獣人だったお父さんの貯金と保険金、お母さんのパートのお仕事のお給料で暮らしています。


パン吉は、将来『会社員』になりたいです。

その為には人間の国の大学に行くのが一番いいと思って、一生懸命勉強していました。

お父さんのこともあって、体の弱いパン吉には、獣人としてテーマパークで人間をおもてなしする仕事は負担がかかりすぎるかなって。


会社員になってちゃんとした会社で働ければ、体調崩しても有給休暇も多いし、もしもの時は傷病休暇とかも使えるし、デスクワークの方が体力を使わない。最近は『在宅ワーク』があったりするし。

パン吉、もうおかあさんに心配かけたくないから、自分の体調を崩さないで、しっかりとお仕事ができる立派な会社員になるつもりです!



※※※


ふと窓の外を見ると、桜の花びらがどこからか飛んできていました。

「今年の桜は早いなぁ」

咲いて、こんなところにまで飛ぶほどに散っているという事だもんね。

大学入学の準備で忙しくて、全然気が付かなかった。


一緒に机の上でパン吉とスマホで動画を見ながら、思い出したように綺麗な机の上を掃除をしては寄ってきてパン吉の毛並みに埋まるちいくいんさんは、パン吉の言葉に不思議そうにしています。

「ちーちゃん桜見たことある?」

ちいくいんさんは、しばらく考えた後フルフルと横に首を振りました。


「じゃあ見に行こうか。人間国に行ったらゆっくり見る暇なさそうだもんね」

ちいくいんさんを手の上に乗っけて、パン吉はお出かけすることにしました。



今は3月の終わり。

日本の中でも南側にある獣人国は、桜は少し早いです。

大学のある人間国の首都に行けば入学式の時にまだ咲いてるかもしれません。


青空の下、近くの公園の桜は満開を少し通り越して、散る花が風に舞っていて、それが風流っていう感じでした。

「ほら、これが桜だよ。綺麗でしょ?」

言うと、ちいくいんさんはパン吉を見上げてコクコクと一生懸命頷きました。ちいくいんさんはいつも素直でそれが可愛いなってパン吉は思っています。


でも、綺麗な桜の枝から落ちる花びらの行方が気になるみたい。

あんまりにも桜の花びらが落ちた地面を覗き込むので、パン吉はちいくいんさんを地面に降ろしてみました。

ん?そういえばちいくいんさんを地面に降ろすのって初めてだな…。


ちいくいんさんは、すぐに地面を掃除し始めました。

公園の地面は花壇以外は舗装されていて、土は無いけどいたるところに桜の花びらがいっぱい。

ちいくいんさんは箒で一生懸命掃いて、掃いて、掃いて掃いて掃いて掃いて…。

桜の花びらの山を作ってしまいました。


でも、どんどん花びらは桜から落ちてくるし、ハッ!としたような顔をして、またちいくいんさんはお掃除しに向かいます。

お掃除ロボットの本能をむき出しでせっせせっせと花びらを集めている様子です。

一生懸命で可愛いなぁ、とパン吉はちいくいんさんを観察しました。



小一時間経過しました。ちいくいんさんの背丈の3倍くらいの桜色の小山ができています。

これ、もしかして無限に掃除しようとしている…?


「ちーちゃん?」

パン吉が声をかけると、ちいくいんさんはハイ?とでも言うようにこちらを向きました。びっくりするくらい花びらまみれでした。


パン吉はその姿が面白くて笑いました。


そういえば、ちいくいんさんはパン吉の写真をよく取ってるみたいだけど、ちいくいんさんの写真は一枚も無いな、と思いパン吉はスマホを取り出してちいくいんさんの写真を撮りました。

ちいくいんさんは終始ちょっと間の抜けた顔をしていて、こういうハプニングが起こると可愛いです。


写真を取られながらちいくいんさんは不思議そうにじっとこっちを見ていました。

しかし、また桜の花びらが散るのが気になりだしたようで、掃除をし始めましたが…。


パタリ。突然倒れました。

「ち、ちーちゃん!?ちーちゃんどうしたの!?」

拾い上げて気が付きました。

「あ、充電切れかぁ…」



お家に戻ってUSBで充電をすると、すぐに目が覚めたちいくいんさんは、頭を掻く『シッパイシッパイ』ポーズをしていました。


調べてみてわかったんだけど、Wi-FiがつながらなくなるとAI機能が十分使えないから動作が単調になったりするらしいです。

いつもの賢いちいくいんさんもいいけど、ちょっとポンコツなのも可愛かったな、と写真を見返しながら思いました。またお外に一緒にお出かけしよう。


これから始まる新生活は心配なこともあるけど、ちいくいんさんがいてくれてよかったです。

一生懸命頑張るから、パン吉のことをこれからも応援してね。ちーちゃん。



おしまい



読んでくださってありがとうございました。


↓わかりにくいかもなので説明です。

パンダーマンが夜に喋るのは超常現象ですし、地蔵も超常現象ですが、ちいくいんさんは彼らをロボットとAIだと頑なに信じています。

逆にパンダーマンと地蔵はちいくいんさんを超常現象仲間だと思っています。


人間すっ飛ばして、ロボットと超常現象が仲良くしてたら面白いな〜、と思って書きました。


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