僕の終わり
白い。
ひたすらに白い、ものすごく広い空間。
ふわふわと漂う様に、その空間に僕は居た。
さっきまでの鉄骨も、ワモンゴキブリも、アジフライも…どこにも見当たらない。
どうしたって言うんだ。
これは一体なんなんだ…?
と、声を出そうにも音を発することが出来ない。
あれ?そもそも声ってどうやって出すんだろう…。
家族のお世話はどうしよう…。
ーー残された家族たちは上手く貰い手を手配しておきましょうーー
僕の中に突然声が響く。
えっ!今のは何!
僕はどうなったの!
…答えは返ってこない。
ますます訳がわからない。
ここは死後の世界なのか…?
死んだら花畑の先の川を渡るんじゃないのか?
どうしよう。
渡賃が要るって聞いたことがあるな…アジフライと仕事鞄の中に財布がー…今は無いんだった。
ねえ、本当に僕はこの後どうなるの!
ーー魂と肉体の繋がりが今完全に切れました。愛と慈しみ深い魂よ。ここから転生するか、輪廻を外れて解脱するか、選ばせてあげましょうーー
ええっ、やっぱり僕は死んだのか…。
解脱だなんて仏教徒じゃないんだけどなぁ。
ーーでは、転生を選ばれるのですね。あなたの魂が望む形に近い姿と能力で生まれ変わらせてあげましょうーー
あ、僕虫が良いです。
でも出来れば呆気なく死にたく無いな…。
ーーその様にしましょう。そろそろ時間です。2度目の生に幸あれーー
あ、ちょっと、残した仕事のこともーーー
そこで僕の意識は途切れた。