表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/24

僕と一国一城の主3

ゴゴッ!!!

音を立てながら飛来する槍を躱し、クロは引き続き天井から。僕は壁をなんとか走りながら攻撃を仕掛ける。


ドゴオオ!!!

後方で槍が地面と壁を貫き刺さった様だ。

巣穴全体が揺れ、天井からパラパラと瓦礫が降ってくる。それらを避け、クロとタイミングを合わせて飛びかかる。


しかし、足元から目の前に土の壁が現れ、進路を阻まれる。勢い余って壁にぶつかった。体がギシギシと音を立てる。

(痛い…でも戦えないほどじゃない!)痛む体に鞭打ち、すぐに起き上がって噛み付く。


クロも、頭上から首筋に噛み付くことに成功していた。


「ヂュギイィイ!!」叫びながら体を振り回し、勢いで吹き飛ばされる僕とクロ。

そこへ女王の尻尾が風を切って迫る。

ラがバリアを纏いながら僕らの前に立ち、それを受け止める。


ラに尻尾がぶつかった瞬間、鈍い音が二度響く。バリアとそれを貫通して甲殻にぶつかった様だ。少し甲殻が凹み、頭がくらくらとしているのか、頭をぶんぶんと振る。すかさず放たれたホワイトの回復魔法ですぐに凹みが治り、目眩も落ち着いたのか女王を見据えている。


尻尾に集中している間に、モとグが額のコブを利用して痛烈な頭突きを放ち、ぐらついた女王の鼻先をスモールソードローチの刺突が決まった。


「ギュッ…!!!ギチィイイ!」堪らず後ろに下がる女王ネズミ。貫かれた鼻先からはドクドクと血が流れ、前足が折れたのか便りなさげに揺れている。

それでもこちらを睨みつけ、ギリギリと歯軋りをしながら尻尾を縦横無尽に振い、同時に石の槍を何本も飛ばしてくる。


背後に迫ったクロにも気が付いていたのか、槍と尻尾で牽制しながら、部屋の中央に戻っていく。


ダークボールを放って隙を作ろうとするが、先ほどの攻撃が効いていたからか、石の槍で打ち消してくる。

負傷しながらも全てを捌いているのは流石に女王と言ったところか。


(かなり警戒しているらしいな…。)

神経を張り巡らせこちらの動きの一挙手一投足に対応してくる。全快だと不味かっただろう。


(…まて、数の差があっても、怪我の影響があってもそれでもまだ実力は向こうが上。防いでジリ貧になるよりも、こちらを削る方が絶対に良いはずだ。なぜそれをしない?)

ふと湧いた疑問が何かを見落としているように感じさせた。


なんだ?何に違和感を感じている?

思考を止めるな!拮抗しているとは言え、こちらの傷が癒えていくなら、戦況は徐々にこちらに傾く。わかっていて逃げないのは何故だ。


隠している攻撃手段があるのか?時間稼ぎか?

隠す必要はないはずだ。そもそも順当に戦っていれば勝てた相手。なんの時間稼ぎだ?


モとグが尻尾を物ともせず突っ込む。

女王は土壁を作り、その上からの噛みつきでモとグに襲いかかる。


(そうか!女王は部屋の中心から何故か動かない…動けないんだ!わざわざ不利をわかってまで残っている理由は…)

その時、影に吸い込まれ、ふらついた女王に、クロの麻痺毒の噛みつきが当たった。


咄嗟の反撃に弾き飛ばされて、壁にぶつかり落下するクロ。

ラがすかさず走り込んで受け止めて、地面への激突を防いだ。


ぐらついて倒れる女王。

憎々しげにこちらを見ながら、麻痺して動けないはずの体を動かして槍を全方位に放とうとするが、体が地面の影に沈み込んで上手く出来ない。僕の放ったシャドウバインドとシャドウによって女王の体の半分ほどを飲み込み固定することに成功した。



そうして低くなった女王の首元に、スモールソードローチの刺突と、ダークボール、時間差でモ、グの突進がぶつかり、もくもくと土煙が上がる。


煙が落ち着いた時、女王はもう完全に沈黙していた。

体で隠れているが、部屋の中心の地面の下から気配と、わずかに音がする。


女王の死体ごと、重量任せのモ、グ、ラの体当たりで吹き飛ばすと、深い縦穴が現れた。


この先に女王が動かなかった理由がある。

僕らは縦穴に意を決して飛び込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ