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僕と下準備

穴蔵の奥、より暗いところ。

僕が生まれた場所に、少なくともこの世界での親であるゴキブリがいたはずだ。

彼らを頼ることも考えたが、すぐに思い直した。


兄弟たちを守るために、僕が甘い考えを抱いてはいけない。

親世代が僕らを子供として認識しなかった場合、あるいは認識していても、彼らが僕たちを単なる食料とみなしてしまったら、僕らに未来はない。

そうして僕は仲間を増やす考えを捨てた。


第二の生こそ最後まで生き延びたい。

出来れば短くとも苦楽を共にした兄弟たちも共に。


僕は、決して彼らを見捨てない。だが、もしも強敵と対峙したとき、彼らを守るために必要な力が足りなければ、僕たちは全滅してしまう。


「皆で一緒に生き延びよう。」自分自身にそう言い聞かせた。


いずれにせよ、ハダカデバネズミたちとの戦いは避けられないだろう。だが、今の僕ら単体では彼らには到底勝てない。それが事実だった。だけど、兄弟たちを見殺しにする訳にはいかない。僕たちは力をつけなければならない、もう一度。食べられてしまった兄弟たちの仇を討つために。


思い返すと胸が痛んだ。あの時、僕がもっと強ければ…いや、今さら悔やんでも仕方がない。


そのためにも、今あるアドバンテージを活かすしかない。僕たちにあるもの、それは人間としての知識と、ゴキブリの特性を超えた連携。 あとは、僕が使える影の魔法や麻痺の力だ。これらを最大限に駆使して、ハダカデバネズミたちに挑むしかない。


怖くない訳がない。失敗すれば僕たちは、全員死ぬ。兄弟たちのことを考えると、その恐怖はさらに増す。だが、この恐怖と向き合い、乗り越えなくてはならない。なぜなら、生き延びるためには、遅かれ早かれこの壁を越えなければならないからだ。


「絶対に、彼らを守る。」僕は決意を固めた。


まず、スモールデスローチと僕で巣穴の探索を行った。僕らは、ネズミたちが密集している場所を避け、すれ違う時などは影を使って巧みに隠れながら移動した。僕たちが発見したのは、6本の通路と8つの部屋。兵隊がいる部屋、労働ネズミの寝床、そして食糧庫。


スモールデスローチと目を合わせる。彼も同じ気持ちだっただろう。「僕たちならやれる。」口には出さなかったが、そんな確信が彼の目から伝わってきた。これで、僕たちに少しだけ希望が見えた。 兵隊たちを無力化する手段を見つけたことが、大きな一歩だった。

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