僕と兄弟の進化
進化した僕は体が大きくなり、少し隠れづらくなったため、魔法でどうにか出来ないか、と方法を探していた。
少ないゲームや漫画の知識から、思いつくワードを心の中で唱えまくった。
ハイド!…エスケープ!…隠れ身の術!…ダーク!
その前に念じたものと違い、ダークと念じると、体から少し力が抜けた様な感覚のあと、目の前にふよふよと浮かぶ黒いもやが出た。
すごい!魔法が使えた!…でも、どんな魔法なんだろう?目隠しになるのかな…?
今は使い道がわからなかった。そしてきっと脱力したのは魔力的なものを消費したのだろう。
この辺りは誰も教えてくれないので試行錯誤するしかないな。限界が来ると使えないだけなのか、死んでしまうのか…試すにはかなりのリスクが伴うため、当てずっぽうで唱えるのは避けた方が良さそうだ…。
何となく、さっきの脱力感から考えると後一回くらいは出来るかも。
そう思いながら、シャドウと念じた時また変化が起きた。
強い倦怠感と、視界がぼやけて頭がくらくらとする感覚が起きたあと、足元の影が波打ち始めた。
そっと脚で触れてみる…脚がゆっくりと沈み込んでいく!驚いて引き抜くが、脚に変化はない。
兄弟たちが心配そうに見ていたため、脚を上げて無事をアピールする。
これはつまり影の中に隠れられるという事だろうか?
大当たりだ!
しかし、体感で10分程すると影の中に潜っていても強制的に出されてしまうことがわかった。
怖かったので、そこらにあった肉片で試したため、自身が潜ると違うのかもしれないが、閉じ込められたりしないのがわかったのは良かった。
労働役のハダカデバネズミは、定期的に来るため、気配を察知してからでも間に合うはずだ。
こうして僅かばかり生存の為の手段が手に入ったのだった。