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「ある日、俺に彼女が出来た」

数ある作品の中から、この作品を開いてくれて、ありがとうございます。ラブコメが好きな方、そうでない方も大歓迎。ごゆっくり。

「まさかおれにも、彼女が」


俺はある日、彼女ができた。


俺はごく普通の私立高校1年生、田中陽季たなかはるき。先月、この学校に入学した男だ。学校での生活は、もう慣れてしまった。とは言っても、俺の過ごす学校生活はとても静かなものだ。俺は人とのコミュニケーションが苦手で友達もできず、休み時間は基本的には独り。まあどこにでもいる陰キャだ。昼食もいつも一人で過ごしているし、何なら、体育の授業でペアを作るときだって一人で余って先生とやってるくらいだ。そんな独り生活が、ずっと続くのかと思うと、とても嫌気が差してくる。他の生徒はみんな仲良しだし、きっとカレカノにでもなるやつが出てきてもおかしくない。しかし俺は独り。彼女どころか、友達も出来ない陰キャ。まぁ人生、そんなものだろう。




今は数学の授業が終わり、休み時間。クラスメイトはみんな、各友達と話をしている。昨日のテレビ見た?とか次の授業何だっけ?とかそんなくだらない話。でも俺には話相手などいない。ただ一人を除いて。


「おいおいいい加減友達作ったらどうだ?」


彼は飯尾和也いいおかずや。こんな俺にも話しかけてくるうるさいやつ。フレンドリーというか、俺みたいなやつに絡んでくるやつかな。うざいけど話すのは面白いし、何より友達と呼べるに等しい。そんな彼は必ず毎日この質問をしてくる。


「だから、作るっていって作れるならこうなってないって毎日言ってるだろ」


「そうだけど、お前みたいなやつは話しかける勇気すらねぇじゃんか。コミュニケーション以前に、勇気をつけな」


確かに、俺は勇気もない。てか勇気がないから話しかけられず。こうやって独りになる。その結果、突然話しかけられると反応に困り、コミュ症になるのだ。


そんな和也に俺ははいはいとやる気がなさそうな返事に、和也は呆れたように続ける。


「今のままだと、彼女もできねぇぞ」


「彼女…ね」


俺は彼女はほしい。まぁ当たり前だ。陰キャでも女の子と関わりたいし、デートもしてみたい。でも女子と仲良くするには最低限話しかけられるようになるべきだ。そんな俺はなんとかしてくれという目で和也を見る。


「まぁお前が彼女出来る確率はゼロだな」


「返す言葉もない。」


そうやっていつもからかってくるが、彼と話すことが唯一人と関われるので、何も言わないでおこう。


「ほら、みてみろ。あの可愛い女を。お前も顔は悪くねぇんだから、付き合えるかもしれないのに」


そう言って和也が指を指したのはクラスから見えた廊下を歩いている学校1の美女と言われてる隣のクラスの星川愛菜ほしかわあいなだ。顔は整っていて少し小顔。実に可愛い系の顔。しかし行動一つ一つが輝いていて、笑顔は清楚極まりない。そして彼女は、この学校の理事長の娘で、いわばお嬢様だ。


「無理だろ。あれはお嬢様だぞ」


俺と彼女は、例え俺が喋れたとしても釣り合うことができない。今までクラスのイケメンの男子が何人も告白しているが、彼女は美しい顔を少し怖くして、ごめんなさいと断っている。そんな彼女を俺はただ眺めることしか出来ない。


「まぁ、お前はこのクラス1番の美女でも付き合えるか、だもんな。」


「クラス1でも無理です。そうやってからかうのだったら、なんとかしてくれ。俺も男女問わず話したいよ。」


俺は基本一人でいるので、ほとんど人との交流がない。強いて言うなら、小学生の頃、誰かと話したような...まあそんなことは昔のことだから覚えてない。まあいいけど。それよりも、今は高校の生徒と仲良くするということが大切だな。恋愛なんて、もってのほか。

そう考えているうちに、さっき俺が問いた質問に答えが帰ってきた。


「俺にはどうにもできねぇけど、お前のおじいさんがなんとかしてくれるんじゃね?研究者だし。」


「研究者は恋愛マスターではありません」


俺のおじいは研究者。俺が幼い頃、両親が離婚して、俺はおじいの田中純一にそだてられた。純一は若いころから研究熱心で、過去に賞を取ったこともあってか、有名だった。それはお金もたくさんあっただろうから、彼女とイチャラブしていた事だろう。てか彼女いなかったら俺生まれてねぇし。


「まぁ、おじいだったら、研究で恋愛攻略とか言ってそうだな」


「とにかく、今日おじいさんに聞いてみな」


恋愛は相談が第1だという和也の考えは正しいだろう。俺は今日研究関係なく、相談してみよう。




俺はその後いつも通り学校を終え、家に帰る。俺は扉をあけ、ただいま、と声を出すと。おかえり…と弱々しい声が帰って来る。


その後、普通にご飯の時間までゆっくりして、食卓で二人になった時、俺は話し始めた。


「おじい、俺彼女が欲しい」


純一は箸のてが止まり、つまんでいた米が落ちたあと、陽季の願いに応える。


「おお、そうか。なら、その日和った性格をまずは変えるところからじゃ」


やっぱり答えは変わらなかった。しかし純一は続ける。


「そうじゃ、わしは今新たな原子を2つ開発しているんじゃが、それはその2つがくっつきあう性質をしておってな。まあ量子もつれが影響しているんじゃが。それを利用すれば、女子と話せるかもな」


要約すると、おじいは今、原子Aと原子Bを新たに発見したらしい。研究によると原子Aと原子Bは互いに磁石のようにくっつくらしく、それを利用して、俺と女の子をくっつけようと言う考えだ。純一は、原子を人の体に入れ込んで病気を治すという研究で賞を取っている。それを恋愛でもやるということらしい。陽季は興奮と期待でいっぱいになり、純一とともに研究を始めるために、研究室に向かった。そこは古びた部屋ながら様々な機会が置かれていて、何やら2つの物を取り出す機械があった。これが量子もつれとなにか関係が?量子もつれなんてなにか全くわからなかったが、実験を始めるとすぐに原子同士が合体し、新しい何かが、出来てしまった。しかし、純一はなんだか良くない顔をしていた。


「悪い、威力を強くしすぎた」


すると、原子Aを作っていた機会が破裂し、部屋中に飛び交う。原子は目に見えないが、まるでキラキラしているようような気がする。これはまずいと思い、原子Aを回収しようと思ったが、この部屋全体から集めるのにはあまりにも不可能に近い。更に偶然窓を開けていたので、原子Aは、飛んでいってしまった。


そんな事を無視しておれはとりあえずもう一つできた原子Bを体の中に入れてみた。

もちろん原子Aがなくなった今、取り込んでも意味はない気もするが、いれて損はないし、また原子Aを作ったときに実験すればいいからだ。というのはただの建前で、本当はただこの実験にワクワクしていたからだ。


入れ方は単純だ。できた原子を空気といっしょに口の中に入れ、飲み込むだけだ。あとは女子に原子Aをいれるだけ…なのに、原子は外へ出してしまった。もしあのまま放置しても、陽季の体に入ってなにか起きてしまうかもしれない。なのでしょうがなかった。


「実験は、失敗じゃな」


「そうだね」


なんだかすごく変な気持ちだ。やはり研究で恋愛は難易度が高い。


「そういえば、2つの原子って、どうやって作ってるの?」


陽季の単純な疑問に、純一は答える。


「それはじゃな、元素AとBの互いの陽子を―――ていってもそもそもお前、こんなこと言ってもお前にはわからんじゃろ。こんなの未知の領域なんじゃからな。」


そういって純一は俺に「もっと勉強したほうがいいぞ」といわんばかりに満面の笑みを見せてくる。それを見た陽季は少し呆れて見ていたが、そんな陽季のことなどお構いなしに、純一は続ける。


「まあ、飛んでいった原子はなんとかなるじゃろ」


「なんとかって?」


なんでこんな一大事に平常でいられるのだろうか。きっとこれは生きた年数の差なんだろう。しかしおじいがいったことは、とんでもないことだった。


「もしこの原子Aが女性に憑依したら全てお前の彼女になるってことじゃ」


「なんでそうなんの?」


よくわからない理屈で、よくわからない元素が出来て、よくわからない人にいって、よくわからない人と付き合う。こんな感じかな。戸惑いを隠せない陽季に、おじいは笑いながら、こういった。


「それは、おれもわからんが…まぁ明日になってみるんじゃな」


純一にそう言われたので、陽季はとりあえず従う。しかし、次の日にまさかこんなことになるなんて。




「貴方が好きです」


突然告白してきたのは、あのお嬢様の星川愛菜だった。おれは一瞬驚いたが、あごがガタガタしながら、うんと答えたのだった。


「まさか…俺にも、彼女が…」


俺はある日、彼女ができた。


それも、学校1の美女が彼女に。


「やはり、これはあの元素の仕業なのか?だとしたらあの飛び散った元素の力でまた彼女ができるのでは!?」


そう考えていても仕方ない。陽季は、その時が来るまで愛菜とラブラブ生活を楽しもう。そして、原子Aはラブニウム元素、原子Bはツケニウム元素と名付けた。まぁもう使わないだろうが。 

全文お疲れ様でした。いかがだったでしょうか?ラブニウムについて、いらないとか思いましたか?どういう感想でもいいので、評価、コメントをしていただけると、嬉しいです。では2話でお会いしましょう。

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