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もうひとつの浜崎の物語 Cage

既に掲載済みの浜崎の物語とは違う もうひとつの浜崎の物語 かぶる部分もありますが 歴史の秘部に触れます 但し 残念ながら 未完成 未成品です 将来 大幅に改稿予定

①あなたのモットーは何 do'nt look back だが メリーアンが笑い声を上げた ほんと貴方達は兄弟よね 貴方のお兄様は must be now って おっしゃってたわ ジェフリーは慎重にオールを操っていた 不意にメリーアンの顔が真面目になった 貴方は死なないでよ どうした急に 貴方達はあまりにも似過ぎている 理想家肌な所とか まとも過ぎて敵が多すぎる所とか 貴方まで失いたくない あたしをひとりにしないで あたしをこの国に置き去りにしないで 兄貴はなんと言ってた ボートが波間に漂っていた 約束は出来ない って ジェフリーはため息をついた オールを漕ぐ手を休めていた 大丈夫だと言いたい所だが 俺も兄貴と同じ事しか言えないな 約束は出来ない 痛ましそうな顔をしてメリーアンを見つめた ごめん 本当は空約束でもよいから 大丈夫だ 心配ない とか言ってあげなければならないのだろうが 状況はかなり厳しい 周りの状況なんて 言い募るメリーアンを抑えて いや 本国の状況が二転三転してますます悪化してきている もはや 内乱状態と言っていい そのせいもあって 世界の状況も極めて不安定になってきている この国も同じだ 出来る事なら君を本国に帰してやりたいがもはや世界中何処へいっても安全地帯は無くなってしまった もう少し早く 兄貴の時なら脱出出来たかも知れないが あたしひとりではイヤよ 貴方も一緒でなければ ごめん 出来ない 今この瞬間でさえ 銃口が僕の頭に狙いをつけているかも知れない 周りを指差した ボートは波間を漂っているだけだった 僕たちは常に監視されてる こんなにのどかな環境下でもね いやむしろ保護してやっているんだと 言わんばかりにね それも一理ある がいつ状況が逆転するか分からない 僕たちばかりじゃないぜ 浜崎で生活する外世界の人間達は いつも神経を張りつめて生活している 僕たちを守っているはずの人間達でさえいつ刃を向けてくるか 知れたもんじゃない 今は そんな状況だ

②手術は成功した筈だった だが執刀医たる自分には何の報せもなかった 主治医は別に居て それも複数人だというから大事ないのであろうが あまりにも不自然であった さる高貴な方 それもご婦人のという事は聞かされていた 遠くからそれも海外から招致したというか ほとんど強制連行に近い扱いをされた上に 何処とも知らぬ山中に連れて来られて 手術させられた 充分な設備が有るのかどうか危ぶんだが その点はやや古びた設備ではあったがどうにかなりそうだった 数日して形ばかりの礼状と共に既に山中を退去した事を使者から知らされた 術後の経過を検分しない事には手術を終えた事にはならない 第一すぐに移動退院できる病状ではないはず 詰め寄ったが 大事無いの一点張りだった 私をどうする気か尋ねると お約束通り やまとの一流病院の職を得られるように手配するという 此処は元々療養所であり病院ではないので 先生をお迎えするには相応しくない ついては準備が整い次第必ず迎えに来るのでしばらくの間此処で待機してて頂きたいとの事だった やれやれ 少し軽く考え過ぎたか 別に監禁されている訳ではなく 隣近所なら外出の自由もあった それでも見張りがついて 外部の者との接触も禁止されていた 窓を開けた しばらく休めるだけ休むとするか この国にも私を必要としている患者は大勢いるはず 医師には確信があった 窓の遠く 優美な姿をした高山が見えていた

③Mは何処へほっつき歩いている はあ 我々も先程から散々探しておるのですが 街中で良からぬウワサが広がり始めていた 浜のメリーアンと名乗る者が客引きをしている 崖の上の女主にそっくりだという 最初のうちは一笑に付していたが よる夜中に屋敷を訪ねても不在の時があると知って 疑念が湧き起こっていた 一策を巡らし複数人をメリーアンと名乗らせて街中に放ったが ウワサが消えることはなかった 家中でよる夜中の外出を手引している者たちがいるらしいが 未だ炙り出せていない こんな事になるくらいだったら ソーンダイク兄弟にいてくれた方が良かったな アブラハム・ジンは思わず口に出して呟いたが すぐ口を抑えた いや滅多な事を考えるのではない アレはもう済んだ事 だが今回の事はどうも比べようもない大スキャンダルに発展しそうだった 何としても早急に身柄を確保する必要があった そこへ部下達が駆け込んで来た すわ 見つかったか だが部下の報告は更に不味いものだった Mはこの一週間ほど屋敷で見なかったという ジンは舌打ちした 甘やかし過ぎたか しかし一週間不在は重大だった 俺も焼きが回ったか 年貢の納め時か 今まで無事だったが今度こそ致命傷になるやも知れぬ 焦りを募らせた

④閣下に崖の上の薔薇屋敷の女主について大至急報告したき旨を伝える老婦人が訪ねて来ているという 面会を希望する者は多々おり原則断ったり他日の約束を取ったりしている事が多いのだが 用件が用件だけに会っておこうと思った 会見室に招き入れると 老婦人は女主の危篤を伝え一両日中に身罷るかも知れぬと先づ伝えた後 葬儀の次第と遺灰につき女主の希望を伝えた 女主が言うには閣下なら希望が叶えられるであろうとも 老婦人が立ち去った後 しばらく茫然として親書を読み返していた 他の要望書にも目を通したりして仕事に集中しようとして果たせないようであった 小一時間ほどして 閣下と呼ばれた男が 急に叫んだ と思ったら駆け出していた 階下の守衛に老婦人の行方を尋ねたが つい先程 任務交代したばかりでわからないという 道路にも飛び出し辺りを見渡すも 見知らぬ人混みばかりであった おばぁ アレはおばぁだったのではあるまいか そう思うもただただ彫像の様に立ち尽くすばかりだった

⑤富士山は何処 上です 見えない もっと上もっと上をご覧あれ 船頭が叫ぶと 突如として雲の間をかき分ける様にして 聳え立つものが現れた 甲板の船客達は 皆息を呑んだ 船頭は晴れやかに笑っていた あれが お母様が話ししてくださっていた 富士山なのね 船べりから身を乗り出す様にして 陶然としていつまでも眺めていた 御臨終です 在位80年最長不倒の総督 ディアーヌは旅立っていった 享年93歳

⑥すぐそこの餡蜜屋でどうだ 先に歩き出していた年若の方が そこはちょっと 振り切る様にして答える 坂の途中の団子屋で済ませませんか 彼処の安倍川餅も美味いですよ そうかい 年配の方が 名残惜しそうに 餡蜜屋を横目で眺めながら すぐに 年若の後についていった 注文も慌ただしく すぐに本題に入った 在位80年 ですか 計算が合わない 当時の国際関係や事情でな 23歳という触れ込みでな 新進気鋭の若き乙女という事で赴任されたのだが 実の所はまだ13歳の少女だったのだ それだと辻褄が合うじゃろ いくらなんでも無茶苦茶ではないですか 母親がヤマトの出であるからして送り込まれたという話もあり 両親の不仲で引き離されたという噂も確かに聞いた事があった あのお方の場合 なまじ身分が高すぎたのが裏目に出たのじゃろうのう ディアーヌ・メリーアン・パンタグリュンエル カイザーの出身でしたか 正真正銘の帝室の御身分だ 粗末には扱えない 一応N.A.E.とは合同葬でと話してあります 先方は渋っていますが 強行突破します ほんとに お前さんは 強行突破が好きだな ついては国内の各層の取りまとめを先生にお願いしたい むしろコチラの方が大変かもと思っています 確かにだが 腐っても鯛は鯛 総督の身分は皇帝の代理 盛大に執り行なおうぞ


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