収束
フィオレンティーナはカイルと共に一旦中央のアルフレッド皇子の城へと身を寄せ、ジョン皇子も内政を整えるとルイス男爵に留守を頼みウイリアムズ子爵と共に二人のいる城へと姿を見せた。
今回の騒動の謝罪と礼を述べ三人で定期的に会談を開くことを約束したのである。
フィオレンティーナはそれを見て安堵の笑みを浮かべた。
そして、カイルと共に南へ戻る時にアルフレッドに声を掛けられた。
「フィオレンティーナ姫、もし、もし…カイル皇子が貴女を側室のままにしていたら俺が正妃として迎えても宜しいでしょうか?」
カイルは驚き
「は!?アルフレッド皇子!」
と声を零した。
それにジョン皇子も笑みを浮かべると
「ならば、それに俺も参加させてもらいたい」
と告げた。
…。
…。
フィオレンティーナはそれに綺麗な笑みを浮かべると
「お二人のお言葉…身に余る光栄です」
と優雅に礼をして
「けれど、私はカイル皇子の元にいようと思います」
と答えた。
アルフレッドはそれに
「何故?」
と聞いた。
フィオレンティーナは笑むと
「カイル皇子の名前が…私の亡くなった兄の名前と一緒だからですわ」
兄は未来を奪われて早くに亡くなりました
「だから、兄と同じ名前のカイル皇子と長い未来を歩いて行きたいと思っています」
と告げた。
「けれど、カイル皇子が必要ないと仰れば…」
「言うわけがない!」
とカイルはフィオレンティーナの手を掴むと慌てて馬車へと乗り込んだ。
それにアルフレッドとジョンは苦笑を零した。
アルフレッドは手を振り
「お幸せに…まあ、もしもの時はいつでも」
と笑って告げ、ジョンもまた
「幸せに…ありがとう」
アイスノーズの聖女
と手を振って笑みを浮かべた。
カイルは走り出した馬車の中でフィオレンティーナを見ると
「前の契約は…破棄する」
と言い
「正妃として共に生きてもらいたい」
と告げた。
フィオレンティーナは頬を染めるカイルを前に
「それで?今度は何処の密偵をすればいいのかしら?」
とにっこり笑った。
カイルは目を細めて笑むと
「そうだな、俺の心を」
と手を伸ばすと彼女の唇にキスを落とした。
「共に南の地をアイスノーズの未来を」
アイスノーズの…俺の聖女
フィオレンティーナは微笑み
「契約成立ね」
とカイルに身を預けた。
横手を走っていたロッシュはそれをチラリと見て苦笑を零した。
「ロイの気苦労は絶えないな」
いや、これを知ったら気絶するかもしれんな
そう考えすっと前に進んだ。
彼らの目前には緑豊かな南の大地が広がっていたのである。
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