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フィオレンティーナの素性
ロイはへなへなと座り込むと
「皇子…確かにかなり切れ者なのでしょうが」
そんな危険な女に密偵を条件にするなんて
とぼやいた。
カイルは笑って
「いや、本当は側室として胡坐をかいても良いとは思ったんだが」
彼女は真面目に密偵をするつもりらしい
と言い
「なので、俺も全力で彼女の身を守って行こうと思っている」
ロッシュ、お前にフィオレンティーナ嬢の護衛を命じる
と告げた。
ロッシュはふっと笑むと敬礼し
「ご命令とあらば」
と答えた。
カイルはそれに
「厳命だ」
と返した。
そして、サインが終わった書類の束をロイに渡すと
「じゃあ、真意を探ってくる」
と笑いながら部屋を後にした。
ロイは俯いたまま
「はぁ~、カイル皇子の育て方が間違っていたのか」
リサ様に顔向けが出来ない
と嘆いた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。