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収束

確かに南はアイスノーズの中で唯一作物が豊富に育つ土地である。


人々はそれらを作り豊かに暮らしている。

中央や北にもその作物を様々な鉱石や工芸品や武器などと交換して栄えさせてきた。


北の武器が良いことは知っていたが、ここまで底上げされているとは知らなかったのである。

恐らくアルフレッドも知らないだろうとカイルは判断したのである。


カイル自身は他の国を見て回ったりしているがその国の技術力やそういう特殊鉱石についてまでは見ていなかった。

どちらかと言うと王族や人々の動きや経済的な状態の視察が主だったのだ。


正に自分とジョン皇子とのそれぞれの立場や思考の違いが出ていたのだろう。


カイルはルイスやウイリアムズと共に次なる臣下の元へ向かいながら

「ジョン皇子に俺が持っていた他国の動乱などの状況を教えていればこんな事にはならなかったかもしれない」

俺にしてもアルフレッド皇子にしてもジョン皇子にしても

「お互いが無関心過ぎたということだな」

と心で呟いた。

「だがその眼を開かせる切っ掛けをくれたのは」


…フィオレンティーナ、君だな…


彼女が中央と北へ行くと言わなければ本当に取り返しのつかないことになっていただろう。

カイルは空を見上げて目を細めると

「無茶はするな」

と呟いた。


フィオレンティーナは薬と握り飯と水筒を服の下に忍ばせて給仕を行いながらジョンと密に情報交換を行っていた。


それはカイルとルイスが王都とジョン皇子奪還に来た時にジョン皇子がオズワンドとクラークとヒューズの手に落ちないようにするためである。


彼女は昼食の際にあれから食事の席に同席することのなくなったオズワンドの男性についてジョンに問いかけた。

「ジョン皇子」

私が初めて給仕をした時にいたあの男はオズワンドの人間だと思うのですが


ジョンは頷くと

「オズワンドで王位継承権9番目のアーサー皇子だ」

元々はオズワンドの公爵が四六時中私を見張っていたのだが

「貴女がくる数日前に現れて公爵に他の指示を出して城内のことを仕切るようになったみたいだ」

と告げた。

「私はオズワンドのレア鉱石を輸入し、同時に技術者を招き北の技術者に教えてもらっていたんだが…まさか乗っ取る為の兵士を送る隠れ蓑にされていたとは」

甘かったということだろう


フィオレンティーナは少し考えながら

「その交流は何時くらいから」

と聞いた。


ジョンはノート出すと

「そうだな」

かれこれ4年になるか

と告げた。

「最も急に人数が増えだしたのはここ2年くらいの間だな」


フィオレンティーナは少し考えると

「2年前…」

と呟いた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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