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悪徳令嬢は奸臣に無双する  作者: 如月いさみ


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56/65

収束

カイルもまた思っていた以上の技術力の高さに驚いていたのである。


ルイスが最初に助力を求めたウイリアムズ子爵は二人を館に招き入れ私兵に周囲の警戒を命じた。

土地の人間による兵士なので結束は固く口も堅かった。


ウイリアムズは応接室で二人に対面し

「王都の不穏な動きについては十二分に理解している」

と告げた。

「だからと言って南や中央に取り込まれることを良しとは思っていない」

先王から固くジョン皇子に付き従うようにとお言葉をいただいているし

「確かに甘い部分はあるがジョン皇子の方針に間違いを思ったことはない」


…例え重臣の中の重臣であるルイス男爵であってもジョン皇子を蔑ろにして南や中央に与するならば私は戦うしか道がない…


カイルは「なるほど北も結束はしているんだな」と心で呟き、ルイスから渡された手紙を彼の前に置いた。

「俺も北を取り込むつもりはない」

アルフレッド皇子も同じだ

「俺とアルフレッド皇子とジョン皇子が揃ってこそアイスノーズは安定すると考えている」

これはジョン皇子から託された手紙だ

「読んでもらいたい」


ウイリアムズ子爵を今守っているのは一人の近衛兵だけである。

だが、その身に着けている武器はカイルが見たことのないものであった。


ウイリアムズは手紙を手に取りその字がジョン皇子のものであることを理解はした。

「だが…」


疑念がぬぐえないということなのだろう。

確かにオズワンドを退去させることは必要だと思っているのだが、その機に乗じて中央と南が北を乗っ取るという可能性があると警戒しているのだ。


カイルは両手を組むと小さく息を吐き出した。

ここにジョン皇子がいれば恐らく彼の一言で片が付くのだろう。


つまり、それだけの影響力を持っているのだ。

カイルは小さく

「ジョン皇子がこの戦いの勝敗を握っているのは間違いないな」

と心で呟いた。


カイルは意を決すると

「それだけジョン皇子に忠誠を誓っているのならば」

と切り出した。

「俺の部下を全て北から立ち去らせよう」


それにルイスは目を見開いた。

「カイル、皇子」


カイルは笑むと

「その代わり貴方と貴方の配下の者に俺の身を預ける」

と告げた。

「ジョン皇子の救出が俺と貴方がたの一致した目的ならばそれで十分だということだ」


ウイリアムズは驚いてカイルを見た。


つまり、丸裸で命を北の人間に預けると言っているのだ。

南の皇子が…である。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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