北の皇子
ジョンは扉を開くのを見て顔を背けた。
そこにオズワンドの皇子が姿を見せたのである。
「おやおや、身体が動かないはずなのに…骨があるねぇ」
それに…君の心の重臣もいないみたいだけれど
「あー、トイレにでも行ったのかなぁ」
彼はクスクス笑ってジョンの服の襟を掴むと
「羨ましいよ」
君たちアイスノーズの皇子は仲が良いみたいだねぇ
「うちとは大違いだ」
と笑って
「生かさず殺さず」
君が死ぬと大義名分がなくなっちゃうからね
「俺は良いけど」
と動けないジョンの首筋に唇を当てた。
「己よりも国の為」
国の安寧の為と
「俺は君のような性格は嫌いじゃないよ」
…懐かしい愚かで哀れな男を思い出すからね…
ジョンは拳を握りしめながら目を閉じた。
ルイスは城を抜け出して馬を駆るとアルフレッド皇子の王都を目指して疾走した。
休む暇などなかった。
一刻早く密書を届けて若き主君を助け出したかったのだ。
ジョン皇子の身体の異変に気付いた時には既にオズワンドの手の平で転がされていた。
クラーク公爵だけでなくヒューズ子爵もオズワンドの皇王の甘言に乗って傀儡とするジョン皇子を擁して己達がアイスノーズの中央と南も手に入れようとしていたのである。
警戒はしていた。
特にクラーク公爵が先王が死去した時に
「ジョン皇子は一番の長兄」
先王の後を継ぐのは当然でしょう
とジョン皇子を交えた公会議の席で口にした時から警戒はしていたのだ。
皇子がそれを窘めた時に見せた不服さ。
だからクラーク公爵には警戒をしていた。
だが。
だが。
ルイスは馬を走らせながら
「まさか、ヒューズ子爵まで加担していていたとは」
私が甘すぎた
と唇を噛みしめた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




