背中の紋章の変化
アルフレッドは「確かに」と答えた。
「だが、はっきり言って俺がアイスノーズを一人で治めることは出来ないと思っている」
背中の紋章がそう告げている
カイルは目を見開くと
「…もしかしてアルフレッド皇子は背中の紋章の意味を知っておられたと?」
と聞いた。
アルフレッドは頷き
「父からではなく俺は母から聞いた」
背中の紋章に背けばアイスノーズは崩壊の道を辿ると
「母は聡明な人だ」
内乱が国を傾かせることを知っているし背中の紋章が人の手に寄るものでない事の意味も理解している
と告げた。
フィオレンティーナはそれに
「なるほど」
だからアイスノーズは正妃の子供が…とか長兄が…とか
「そういう取り決めが無くても上手く国が成り立っていたのね」
と心で呟いた。
しかし。
そう、しかしなのだ。
彼女はアルフレッドとカイルを見ると
「けれど、痣が人の手でないということは…状況によって変化する可能性があるということだと思います」
と告げた。
「例えば何らかの理由により三人が二人になった場合はその紋章は二人用の紋章に変わるのではないかと思います」
それが崩壊の始まりである可能性はありますけど
それにカイルは驚いて
「フィオレンティーナ!」
と嗜めるように名を呼んだ。
が、フィオレンティーナは真っ直ぐアルフレッドを見つめ
「痣は崩壊の危機を教えてくれるかもしれませんが」
と言葉を続けた。
…崩壊を食い止めるのは人です…
カイルは言葉を飲み込んだ。
アルフレッドも彼女を見つめ表情を引き締めた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




