アルフレッド皇子
ロッシュは黙って二人の後ろから足を進めた。
先から視線を感じていたが攻撃的な空気はない。
だが。
油断は禁物である。
フィオレンティーナは門のところを丁度通り抜けようとしていたカイル皇子の馬車と一行を見ると
「グッドタイミングね」
と言いパァツと駆け寄り
「計ったみたいな到着ね」
と告げた。
それに馬車から顔を覗かせて
「君が店を探して話をしてと考えるとこれくらいだろうとは思ったが」
君こそ…
と言いかけて、フィオレンティーナの少し後ろで立っているキッズに目を見開いた。
「…アルフレッド皇子」
キッズはカイルとフィオレンティーナを見て目を見開き
「もしかして」
と呟いた。
フィオレンティーナは微笑み優雅に振り返ると綺麗にお辞儀をして
「申し遅れました」
私はカイル皇子の側室
「フィオレンティーナ・コルダと申します」
と微笑んだ。
フィオレンティーナは整った容貌をしてはいるが鮮やかな華やかさはない。
どちらかと言うと品のある冷涼とした美しさが彼女にはあった。
知的で。
凛として。
キッズと名乗っていたアルフレッドはクスッと笑うと
「これは…」
と軽く笑って
「カイル皇子…素敵な女性を見つけられたようですね」
と言い
「王城へご案内しましょう」
ご一緒しても宜しいか?
と告げた。
カイルは驚きつつ
「もちろん、アルフレッド皇子」
と戸を開けた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




