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先ずは第一歩

アイスノーズはサザンドラからオズワンドを経て北に位置する国である。

王は王妃と側室を2人持ち皇子が3人、皇女が2人存在してた。

その王が跡取りを指定しないまま突然死去したので国は混乱していたのである。


その真っただ中にフィオレンティーナはアイスノーズの第3皇子カイルの側室としてやってきたのである。


カイルの正妃であれば顔通しとしなければならないし、この混乱の時期なのでいらぬ波風が立つので側室と言う形でカイルが父王から指定された領地であるアイスノーズでも南側の一際大きな王城へと入城したのである。


「ここが貴女の部屋だ」

自由に動いてもらっても構わないが

「俺は夜には必ず訪れるからその時に何かあれば報告を頼む」


フィオレンティーナはにっこり笑うと

「ええ、分ったわ」

と答え

「先ずお願いしたいことがあるわ」

と切り出した。

「部屋は別にこれで良いのだけど」

服は豪華なドレスの他に幾つか揃えてもらいたいモノがあるの


カイルは「ん?」と彼女を見つめた。


フィオレンティーナは笑みを深めると

「国で情報を得ることが成功したのはグリューネワルトという奸臣同士の絆があったからよ」

そうでない場合はそれなりの集め方が必要だわ

と告げた。

「そのために必要なものよ」



悪役令嬢は奸臣に無双する



「そんなに似合ってないかしら?」


アイスノーズの町の娘が極極普通に来ている厚手のシャツとワンピースを来てクルリと回りながらアンと言う侍女に聞いた。


彼女は視線を逸らせながら

「いえ、似合っております」

としどろもどろと答えた。


似合っていないというか違和感があるのだ。


黒い長い髪に整った容貌。

それだけならば恐らく綺麗な美少女でこれほどの違和感が無いのだが…と彼女は心で呟いた。


フィオレンティーナは明らかに違和感があると表情に書いている彼女の前に仁王立ちになり

「おかしい時はおかしいと言って欲しいの」

別に言ったからと何かすることはないわ

「いいえ、それ以上に感謝するわ」

と告げた。


アンは「は?」と驚きながら

「しかし」

と戸惑った。


王族の関係の人間は絶対なのだ。

例え間違っていると思ったとしても反論した瞬間にお手打ちされるなど当たり前に横行していた。


その中でもこのカイルが納める城は比較的緩い方でこの領土へ来たいと思う人々は少なくなかった。


だが。

だが。

「違和感があるなど―言えませーん」

と彼女は心で叫んだ。

が、フィオレンティーナはフフフと暗い笑みを見せると

「言いなさい」

言わない方が怖いわよ

とにたりと笑った。


アンは「ひー」と声を上げると

「………その、フィオレンティーナ様は凛とし過ぎて違和感があるのです」

と頭を押さえて蹲りながら告げた。


フィオレンティーナは「ふむ」と声を零すと鏡の方に振り向き

「そうなの?」

と聞いた。


アンはちらりと片目を開けて背中を向けて普通に鏡を見ている彼女に首を傾げながら

「その、お怒りにならないのですか?」

と聞いた。


フィオレンティーナはにっこり笑うと

「どうして?本当のことを言ってもらえて助かったわ」

と答え

「仕方がないわ」

変身パート2でいくわ

と服を着替えた。


アンはガサガサと着替える彼女を見て呆れながら驚きながら小さく笑いを零した。


フィオレンティーナは着替え終えると

「え?これはそんなに笑うほど酷いかしら?」

と聞いた。


アンは首を振ると

「いいえ、そちらの方が自然だと私は思います」

と答えた。


フィオレンティーナは笑みを浮かべると

「そう?」

と答えると

「では、これで抜け出しましょう」

貴女が出入りする城の道を案内して

と告げた。


アンは再び

「え?」

と首を傾げた。


カイルの側室である堂々と表門から馬車で出れば良いのだ。

しかもこの様子だと護衛も付けない様子である。


フィオレンティーナはアンを見て

「よろしく」

とにっこり笑った。


アンは内心冷や汗を掻きながら

「かしこまりました」

とそっと案内を始めた。


それこそ『私どうなるのー!?』と叫ぶしかなかったのである。


侍女と共に裏口へと向かうフィオレンティーナの姿を公務室から見下ろしカイルは

「なんだ?あの格好は」

と呟きつつ、隣に立つ人物に

「ロイ…悪いが俺の側室が町へ出るようだ」

使用人口へ直ぐにロッシュを向かわせ人知れず護衛するように手配してくれ

と告げた。


近衛兵長であるロイはカイルの肩越しにその様子を見て

「その…フィオレンティーナ様の外出ならばもっと護衛をお付けした方が」

と助言した。


カイルはふぅと息を吐き出すと

「使用人口からあの姿で出るというのだ」

何かあるんだろ

「ロッシュなら緊急事態にも持ち堪えてくれる」

と言い

「一応、街の要所にそれとなく兵を配備しておいてくれ」

夜に彼女から真意を聞く

と告げた。


ロイは頭を下げると

「御意」

と部屋の端にいた部下に視線を送った。


幼い頃から身を守る役目を担ってきたロイも今回の突然の側室爆誕には度肝を抜かれたのである。


年齢から言えば正妻をもらってもおかしくない。

だが未だその気配がなかったのに突然帰って来るなり

「あ、ロイ」

側室を連れて帰った

「フィオレンティーナ嬢だ」

宜しく頼む

で終わったのだ。


…。

…。

「は、い?」と辛うじて「どなた様―!?」と叫びたくなるのを堪えた自分を褒めたい状況だったのである。


「側室より正妻を…」

とロイは少し胃が痛かったのである。


フィオレンティーナは使用人口から城を出ると

「さあ!やるわよ」

とにこやかに笑み

「アンは仕事を頑張って頂戴」

と言うと意気揚々と足を踏み出した。


城下町では様々な噂話が広がっているものの活気は溢れていた。

最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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