フィオレンティーナの素性
兵士は敬礼すると立ち去り、少ししてロイが地図を手に現れた。
「カイル皇子、一体何をされようと思っておられるのですか?」
カイルはフィオレンティーナを見て
「いや、俺ではなくて」
フィオレンティーナ嬢だ
と告げた。
ロイは怪訝そうにフィオレンティーナを見た。
フィオレンティーナは彼の様子に
「あら、もしかして私警戒されているのね」
と心で呟いた。
「まあ、しょうがないわね」
サザンドラでのことが耳に入っていたら警戒されて当り前ね
サザンドラの重臣の内の半数を断絶させたのだ。
同じことをアイスノーズでされたらと警戒されて当り前である。
ロイはフィオレンティーナを見て
「ではフィオレンティーナ様は何のために地図を?」
と告げた。
フィオレンティーナは今描いたカイルの背中の痣の絵を見せた。
「アイスノーズの皇子は背中に証を持っているとお聞きしたのだけど」
もう一つ
「アイスノーズの皇家の人間は背中に治めるべき土地の証も持っているのではないかと思ったので確認をしようと思いまして」
そう言ってにっこり笑った。
妹のルイーザは聖女に似合いの輝くような美しい容貌をしている。
だがフィオレンティーナもまた髪は父親に似て黒いが美しい容貌をしていたのである。
にこやかに笑むと品のある目を引く美しさが際立った。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




