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その心(声)  作者: キューム
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2話 出会い

俺の視界は突如として、真っ赤なものとなっていた。

さっきまでの風景はみる影もなく、横には首から上がない同級生の姿。

同級生だけではなく、教師も胴を引き裂かれていた。

そして、教壇の上には機魔が獰猛な目つきで俺を見ていた。


「う、うわあああ」


俺は一目散に逃げだした。

廊下に飛び出し、ただただ当てもなく走る。

逃げて逃げて逃げる。視界に入ってくるどの教室も赤く染まり、生きてる人の気配は感じられない。

俺は、ただひたすら走り逃げる。

気づけば俺は屋上にいた。後ろの扉からは轟音が響いている。

やばいやばいやばい。このままでは、俺もクラスの奴らと同じ道をたどる。

何とかしないといけない。だが、落ちこぼれの俺にできることなどない。せめて俺に魔法が使えれば変わっていたのかもしれない。

扉が破られるのも時間の問題だ。俺にはどうすることもできない。


「ダンッ!」


ついに、扉が破られた。

俺は、せめてもの抵抗として、屋上においてあった鉄パイプで突進をかける。


「うおおおおおお!」


「ちょっ、ちょっと まってまって」


「うおおおおおお!」


「言うこと聞けや!」


「痛って」


またも、頭に強い衝撃。今日はやけに頭をたたかれる日だなと思いつつ

顔を上げるとそこには、鉄の塊のような機魔ではなく。

深紅の髪をし、長い杖を持った美女が立っていた。









「落ち着いたね?」


「は、はい」


杖で殴られた俺はしばらく気絶していたらしい。

起きたときは、名も知らない女の人の膝に頭をのせていたので驚いた。

あっ、そんなことより機魔は?いったいどうなったんだ?状況は?

俺が混乱していると、彼女から声をかけられる。


「とりあえず、大丈夫そうだね。気絶してしまったからさすがに焦ったよ」


「は、はあ」


「取り合えず、今は安全だから気を抜いても大丈夫だよ」


「そ、そりゃどうも?」


どうやら、今は安全らしい。

屋上にいるとはいえ、学園内からは物音ひとつ聞こえない。


「あ、あの。 機魔はどうなったんですか?」


「あー、機魔なら大丈夫。私がちょちょいと倒しちゃったから」


女性は空気を和やかにするためか、明るい声で話してくれる。

しかし急に表情を暗くすると、突然頭を下げた。


「ごめん」


「へ?」


俺は訳が分からなかった。機魔はこの人が倒してくれたそうだ。

なら、彼女はむしろ命の恩人だ。謝られることなど何もない。

俺は、呆然と次の言葉を待つことしかできなかった。


「君の友達、いや、君以外すべてのこの学園の人達を守ることができなかった。」


あー、彼女は優しすぎるのだ。

ここが、襲われた理由はわからないがきっと彼女のせいというわけではないだろう。

むしろ、ここに俺の親しい人はいない。冷たいかもしれないが正直悲しみより、驚きのほうが大きい。

俺は、直に伝えることにした。


「いや、謝ってもらうことなんてないですよ。むしろ感謝しかありません。助けていただきありがとうございます。」


「そっか」


女性はどこか安心したような表情を浮かべ笑った。

少しの間、気まずい時間が流れ、俺は我慢できず口を開いた。


「と、ところであなたは?」


「私? 私はねー、ファズ、ファズ・エプスだよ! よろしくね!」


「は、はい」


「君は?」


「俺は、ソウル。ただのソウルです」


「そっかー、ソウル君か。よろしくね!私のことはファズでいいよ!」


「は、はい。ファズさん」


といった感じで、自己紹介を済ませた後、この学園にはギルドからの監査が入るということで俺たちはこの場を離れることになった。

もう、危険はないかもしれないが念には念をということでファズさんがついてきてくれることになった。

今は、ギルドに報告したほうがいいというファズさんとともにギルドへと向かっている。

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