聖女様召喚・桜井恵美利の叫び
中間テストの点が悪すぎて、再テスト、再々テスト、再々々テストでも合格できず、たった1人で補習を課されていたのだが、ようやく終わった。
「モルって何。人生で使うの?ああ、もう嫌。いっそ異世界召喚とかないかなあ。聖女様とかになって、イケメンに囲まれて一生楽して生きていきたい」
呟いて、伸びをして立ち上がる。
と、足元に何か線が浮かび上がった。
「ん?」
アニメで見る、魔法陣に似ている。
「まさか、ね」
そう思った瞬間にはフッと体が浮き上がるような感覚がして、次の瞬間には、大広間でたくさんのおかしな格好の人達に囲まれていた。
「え?何これ」
恵美利はあたりをキョロキョロと見回した。
貴族か何かのような格好の人達、いかにも騎士という格好の人達、宗教関係という格好の人達。足元の床は石でできているらしく、その上に、魔法陣と思しきものが描かれている。
予感に、ドキリと心臓が跳ねた。
「聖女様ですか」
「聖女?私が?やったー!逆ハー万歳!」
恵美理はガッツポーズで叫んだ。
しかしここからが長い。
王と教会、どちらが身柄を引き取るかでもめているのだ。
恵美利はすっかり飽き、周囲を見た。
たくさんのイケメンがいた。
その中で、好みのタイプを発見した。
(ここにいるという事は、身分も高いってことでしょ)
そう考えると、その青年のところに行って、腕をとった。
「この人のところに行く!いいでしょ?」
そのイケメン、ニコラス・ヒースウッドは侯爵家の長男で、王家とも教会幹部ともつながりがないという事もあり、恵美利の希望は叶えられた。
(フフフフフ!イケメンで逆ハーレムを楽しんでやるわ!)
恵美利は心の中で高笑いしていた。