部屋でくつろぐ5~悪臭の正体~
「そうでしたか………」
「ああ、ま、この世界で見つかったからな。俺達の捜索も終わりだ」
「で、陛下達は何故ここに来たのですか?私を呼びつければ良い事ですが?」
俺は本題に入った。
「普通はそうですが、しかしながら、我が宮殿に貴女様を呼んだ場合は、多くの貴族達の目にとまります。そして、わたくし達に会うのは謁見の間です。謁見の間には、わたくし達の他に位の高い貴族や護衛達もおります。バーストの話を聴けば、貴女様は世間に公表をしたくないとか。だからこそ、わたくし達がお忍びで来たのです」
「なるほど、分かりました。バーストさん?先ほどの件は不問にしますよ」
「ありがとうございます」
「まあ、良く出来た国王ですわね?」
「そうだな。今時は珍しいな?王は下々を呼びつけるのが当たり前と思っているからな?」
「そうですわね?確定していない者でも呼びつけますわね?」
と、父さん達は、陛下を褒め称えていた。
「い、いいえ、それに聖様の存在をまだ貴族達に知られたくはありません。特に闇貴族には」
「ん?闇貴族?なんだそれは?」
「今、この王国での一番の癌で横暴貴族だよ。俺は、その息子に会ったが、嫌な奴だったよ!しかも、体全身から凄く腐った悪臭を漂わせたな」
「体全身から悪臭か?おそらく、それは死臭だな。しかも、相当な怨みを持って死んだ人間達のな」
父さんが言った。
「死臭か?」
「じゃあ?お姉ちゃんがガルーガから臭って頻繁に言っていたのは死臭だったのね?その死臭は私達には感じなかったわ」
「ええ。でも、聖だけは感じた臭い?やっぱり、神様だからなの?」
「いいや、聖は一度死んだからな。知らず知らずに自分の死臭を嗅いだ。その臭いが魂に刻まれているんだ」
エリサの質問に父さんが答えた。
「なるほどね?だからか?」
俺も納得した。
「ああ、しかしな?それ程の悪臭を放つという事はそいつやその家族共は相当な数の人間達を残酷なやり方で殺しているな?」
「そうですわね?生きている人間が強烈な死臭を放つとなると、卑劣な人殺しは日常茶飯事という事になりますね?それか、その人間が死人のゾンビとなりますわね」
ガルーガの死臭レベルはゾンビか?それは強烈な臭いをさせても不思議ではなかったな。
「なっ!?」
陛下達が驚く。
「しかしな、死臭では何も証拠にはならない。普通の人間達は感じない臭いだ。勿論、当の本人達もだ」
「だよね?私達も感じなかったし、当人やその手下達も全く感じている様子もなかったわ」
「そうね?確かに、人を殺しているという証拠にはならないわね?」
「しかし、神聖王様達が仰っておられるからには」
「俺の名を出して、そいつらは萎縮するのか?」
「無理だね。『神なんか信じない、ただ、王国の真似事をやっています』。だよ。堂々と横暴するような貴族だ。もし、父さんがそいつらの前に居たとしても、父さんの正体が判るまで、父さんの暴言を吐くさ」
時代劇で出てくるような三下の悪党のようにな。
「これは否定ができないわね?私だってそうだったわ」
「確かにね?けど、判ってもまだ暴言を言いそうだわ」
「確かね?」
「そこまで酷い奴らか?」
「しかし、聖は一度しか会ってはいないのでしょう?」
「その一度会えば、そいつがどんなヤツだか直ぐに判るまでのレベルだよ。全く酷いヤツだよ。平気で、堂々と『オレ様の性奴隷にしてやる。嬉しいだろう。その証しとしてオレ様の靴を舐めろ』。だ。で、その取り巻き共はニヤニヤと嗤っていたんだ」
「なっ!?し、神聖王様のご令嬢に向かってそんな暴言を!?」
「オイ?その前に、この王国では性奴隷が認められているのか?」
「いいえ、我が王国では如何なる理由であろうと、奴隷又は性奴隷は認められておりませんが、ただ犯罪者の奴隷は認められております。その者達は鉱山や危険な箇所の強制労働をやらせております」
「まあ、犯罪奴隷は良いだろう。そいつの自業自得だ。しかし、奴隷らが認められていないなら、ヤツは何故口に出来るんだ?」
「それは……」
言葉に詰まる陛下。
「それは、私との婚約が決まっているからです。しかしながら、わたくしは、ガルーガとの婚約は破棄したいのです!!」
エリサがはっきりと言った。




