部屋でくつろぐ2
「皆どうしたの?私達をぽかんと見て?」
「マリアは聖と居るといつもこうなのか?」
「えっ?うーん?どうなんだろうね?お姉ちゃん?どう思う?」
「ん?マリアはこうでしょう?結構俺に甘えてくるよ」
「うん。私、お姉ちゃん大好きだよ」
「昨日、言っていたわね?」
「えーっと?そうなの?ごめんなさい。私、昨日の記憶がなくて………」
「そうだったの?」
「ええ………アトランティスのマリアと入れ替わったせいかもしれないわ。昨日の記憶力がはっきりしていないんだ」
「そうなのね?ま、昨日もマリアは聖の事を大好きと言っていたわ。ね?聖?」
「そうだね。で、俺の話になった時に、襲撃を受けた」
「うっ。ご、ごめんなさい………」
リクが俯いた。
「リク?もう終わった事だよ。元凶は父さんに罰せられた。今頃は文字通りに生き地獄を味わっているよ」
「そうですね………」
「リク?もう貴女は俺の妹、父さんと母さんの子供だよ?実の父親の事を忘れろとは言わないけどさ」
「イヤ、忘れた方が良いんじゃねぇか?お前の親父は、お前の事を娘とは言わずに息子と普通に平然と言っていたからな。それも、自殺をしろとも言っていただろう?オレは今までそんな親は見たこともねぇよ」
「…………そんな父上でも私を育ててくれましたから………」
「ま、どんな人間でも、その子供にとっては親は親だよ。俺の母だって、破天荒でどうしょうもないけどさ、やっぱり、俺にとっては母親なんだよ。出来たよ」
テーブルにハンバーグとサラダ、パン、スープを置く。
「ひとまずは食べようぜ。腹が減った」
兄さんの一言で、昼ご飯を食べる。
「聖?コレ、作り直してくれる?」
「どうして?」
「だって、このハンバーグは肉汁が全くないわ。なんか不味そう」
「ま、文句は食べてから言うように!」
「そうだよ。このハンバーグは実際にウチの店で出しているモノだよ」
「ああ、人気ナンバーワンのメニューだぜ」
「そうなの?じゃあ………………あっ!?美味しいわ。噛めば噛むほど肉汁が口の中で溢れ出ているわ。このハンバーグは凄く美味しいわ」
エリサがパクついていた。
「で?このハンバーグは作り直すかい?」
俺が言うと、エリサは首を横に振った。
「私、こんな食べ物は初めて食べましたよ。とても美味しいです。けど、天使パンがありませんね?」
「天使パンは朝のみだよ。ま、リクも俺と同じ存在になったから、天使パンは食べないといけない」
「そうなのですね。私は、天使パンは好きなので構いません」
「毎朝、あの甘ったるいのを食べるの?大変だわ」
「私達はそもそも甘い物を食べれませんでしたので、年一回での祭りの日に出される天使パンが唯一の甘味でした」
「なるほどね?慣れれば、どうって事ないよ」
「あのパンを慣れるといってもなぁ?」
「うん、一口食べただけで、甘さが凄いもんね?」
「そんなに甘いの?」
「甘いというモノのレベルではないわよ。なんて言うの?お砂糖の塊に蜂蜜をたっぷりとかけて食べている感じかな?」
「うわーっ!聞いただけで、口の中が甘くなっちゃうわ」
「でしょう?でも、お姉ちゃんは平気な顔で食べているだもの。それに甘いよと言うだけだったけどさ」
「ああ、実際に食べてみたら、甘ったるいパンだったと?」
「そうよ。お姉ちゃんの食べる姿に騙されたと言うのかな?」
「酷いな?甘いと言ったのにな?」
「甘いのレベルが違っているんだよ!」
なぜかキレる兄さん。やっぱり、頭に糖分が足りていないようだな。
そして、
「あー。聖の料理は本当に美味しいわね。シェフに成っても通じるわよ」
「おっ?王女様からのお墨付きだな?」
「ガイさん?ここでは王女様とは言わないようにして下さい。エリサと呼んで下さい。それにご飯前には普通に喋っていたではないですか?」
「まあ、あの時はついな……」
「なら、そのついをして下さい。仮面を被った私なら良いですが、素の私を王女様と言われたら困ります」
「わ、分かった。気をつける」
「リク、貴女もです」
「わ、私もですか?」
「そうです。貴女は私達のクラスメートになりますから、他のクラスメートの前で王女様と呼ばれると困ります。私は正体を隠して、この学園に通っているのです。貴女も神様と他の人達に呼ばれたくはないでしょう?」
「確かにそうですね」
「それと同じですよ」
「分かりました。エリサと呼びます」
「うん、宜しくね。リク」
「はい、エリサ」
エリサは笑顔で答えた。そして、リクも笑顔で答えた。
この2人の間には何も問題ないな。




