聖、自分の正体をばさす2
俺が泣いていると、リリカさんが、優しく。
「良いのよ。泣きたかったら泣いても、男とか女とか、悲しい時には関係ないわ。貴女はその世界では亡くなっているのだからね?そして、2度と肉親に逢えない事も………」
「うわーーーーーーん!!あいつらにもっともっとやってやる事があったのに!!俺はあいつらをもう守る事が出来ない!!帰りたい!帰りたいよ元の世界に!帰って会いたいよ………」
俺はいつまでも泣き続けた。
リリカさんが泣いている俺にずっとそばで付き合ってくれた。
「うっうっ………ヒック…………」
泣いて、大分落ち着いた。
「ごめんなさい。貴女の事情も知らないで……」
「いいえ……喋らないと分からないですよ………俺はもう女としてこの世界でどうでも生きていかないといけませんから………」
「死のうとは思わないのね?良かったわ」
「死ねませんよ。両親から自殺だけはどんな事があろうとも絶対にするな!と言われていますので」
「どうして?」
「自殺をすると、事情は関係なく全て地獄に堕ちるそうですよ?そして、輪廻転生が出来ないそうです。幼女神も輪廻転生の事を言っていましたから。輪廻転生は本当の事でしょう」
「そうだったの?分かったわ」
「お姉ちゃん………ごめんなさい………私……私…聖さんに私の本当のお姉ちゃんになって欲しい。お姉ちゃんが元男でも関係ないわ!お姉ちゃんは今は女の子でしょう?だから…………ごめんなさい。私、ワガママだよね?自分都合で言っちゃってさ………でも、本心だから!!」
マリアは席を立ち、何処かへ行ってしまった。
「オイ!マリア!………ったく。悪かったな妹が………後でキツく言っておく」
「いいえ、マリアさんは混乱しているだけだ。俺が元男だったから………こんな、超美女が元男です。なんて、信じる方がおかしいし、言っている俺の頭がイカレていると思われているさ」
「そうだよな?お前は美人だ。黙っていれば、自然と男が寄って来る」
「男に言い寄られても気持ち悪いだけだ!その男は殴り倒す!………と、言いたいが、この体は筋力が全く無い。この体で殴ったらこちらの方が怪我をするよ」
俺はため息をする。
泣いて、気持ちも切り替わった。
「やっぱり、お前は男だったのだな?俺はお前の気で分かった」
ファルコンさんが言った。
「気ですか?」
「ああ、俺は、任務中に運悪く悪魔に出くわしてな。目をヤられたんだ。その時、悪魔から呪いを掛けられたんだ。俺は目の代わりとなる気を探る事で物事を把握が出来るんだ。物にも多少の気がある。男と女では気の質が違う。だから、最初会った時、俺はお前を男だと思ったんだ」
「なるほど?俺も人の気配を感じる修行をしていたが、修得する前にこうしてお陀仏さ」
「お前は一体?」
「ただの人間さ。ただ引き籠もりをやっていた不良さ。引き籠もりが暇だったから色んな事をお手伝いさんから教えて貰っていたよ」
「引き籠もり!?不良!?」
「ああ、学校という所で嫌なことがあってな。引き籠もりをやっていた。センコー共から不良と呼ばれていたよ。ま、俺はセンコー共の授業なんざ受けたくもなかったしな。それに、その世界の高校レベルの勉学を引き籠もりの時に全て修了したのさ」
「そうだったのか?」
「そのお手伝いさんって人は優秀な人ね?」
「まあね。お手伝いさんと言ったが、俺達、兄弟にとってはもう1人の母親であり、姉でもあるんだ。もう既に家族の一員さ。その人は俺達に母親とは言われたくないから、姉と言って下さいと言っていたからな。とにかく、もの凄く万能の姉だったよ」
「すごく生き生きと語るわね?」
「ああ、俺にとっては目標だったのさ。こういう人に成りたいって、すごく憧れだったよ」
「なら、この王国でやれば良いのよ。貴女が憧れだった人の生き方を貴女が、聖が、実践したら良いわ。それに、私は貴女を応援するわ。貴女は強いわ」
「ありがとうございます。リリカさん。そうだな。あの人ならきっとこういうだろうな。『どんな事があっても前向きに生きて下さいな。』とね?」
「そうね?誰もが前向きに生きないといけないわね。私は貴女を引き取るわ。私達の子供としてこの王国で生きて。それとこの王国の学園に入らない?マリアも言っていたけど、やはり、この世界の事も知っておいた方が良いわよ?新た貴女の人生のなんだからね?」
「入った方が良いだろう。この世界で暮らして行くんだ。世の中の仕組みを解っておいた方が良いだろう。それにお前の将来の為にもな?」
「でも、ギルドは?」
「ギルドは良いのよ。私営だからね?それに今は勉強の方が大事よ。ギルド資格は高等部になるか今年16歳になるかのどちらかよ。マリアはあまりにもせがむから、お使いとして薬草採りに行かせたのだけどね?やはり、1人で行かせるべきではなかったわ。それは私の判断ミスね………」
リリカさんはシュンとしていた。
「ま、結果的にマリアが助かって良かったがな。だが、盗賊共は俺がひねり潰してやる!!」
「俺もそうだぜ!俺の妹に手を出したGの奴らは壊滅させてやるぜ!」
2人の体から魔力が出ていた。
「2人とも止めなさい!部屋で魔力を放出しないの!怒るのは最もだけど、ここでは止めなさい」
そして、2人はリリカさんに言われて自重した。
「とにかく、聖、貴女を明日、養子の手続きをするわ。ギルドランクも明日決めるわ。貴女の魔力なら、Eランクでは割に合わないしね?おそらく、実力的ならAランクかSランクね?明日は手続きが終わったら、私と模擬戦をするわよ。実際の実力を見たいから。それで決めるわ」
「分かりました」
「貴女の部屋に案内するわね。後、お風呂場もね?」
「うっ!?お風呂か………おそらく、まともに自分の裸を恥ずかしくて見られない………」
「ああ、少し前までは男だったわね?それでは、自分のと言ってもいきなり、女性の裸を見るのもキツいわね?私もそうかもね?女から男の体に成れば、厳しいわね。分かったわ。聖はマリアと一緒に入りなさい」
「えっ?ま、マリアさんと?どうしてです?」
「目隠しするでしょう?それで、お風呂場の位置や物がどこにあるのか分かるの?」
「うっ!?無理です…………」
「でしょう?まあ、いずれは自分の裸やマリアの裸に馴れないといけないわ」
「や、自分の裸は分かりますが、何故、マリアさんの裸も?」
「あの子は貴女と入りたいのよ。お姉ちゃんだからね?それにあの子はお風呂が好きなのよ。特に大きなお風呂がね?その時に一緒に入るでしょうね?」
「うっ!?」
リリカさんに言われて、言葉が詰まる。
そっかー、マリアはお風呂好きなのか?それは困ったな?体は女だけど、魂は男だからな?
いきなり、試練が来た。
次回はお風呂に入りますが。レズの絡みは無いですよ。
後、この物語は主人公達のお風呂のシーンが多めです。