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聖、自分の正体をばさす1

 俺達はギルドの建物からカフェの建物に移動した。リリカさん達の家はカフェの2階にあるからだ。


 そして、一家が揃って、夕食を摂っている。俺も一緒に食べている。


 食事が終わり。


「紹介がまだだったな。俺はファルコン・マーカーだ」


「俺はガイ・マーカーだ。宜しくな」


 海坊主を改めて、ファルコンさんとその長男であるガイさん。2人共に筋肉隆々だ。


 ガイさんの髪の毛はワインレッドよりも赤みがかかっている。そのガイさんが。


「で?オヤジとオフクロは、この子を養子にするのか?」


「その予定よ。この子、聖ちゃんが良いならね?」


「聖ちゃんって?そんな年でもないだろう?俺と大して変わらない歳だろう?」


 んー?どうしても、俺のこの容姿は年上に見られるな?


「ガイ、聖ちゃんはマリアと同じ年よ」


「ま、マジか?」


「マジよ。だからこそ、養子と考えているのよ。それに聖ちゃんはマリアの命の恩人だから、余計に」


「そうだな。俺の妹を盗賊共から助けてくれたな?それに天涯孤独だったな?ならば反対はしないぞ」


 これで一家全員が、俺を養子にする事が一致してしまった。逃げ道がなくなったな。これで断ったら、俺は行く所も無くなるかもしれないな。


「ハァ~。養子の件、一晩、考えますと、言いましたが、ここで一家全員が私を養子にすると一致してしまいました。こうなると、私は身動きが取れません。一晩考える間もなく、ここで言います。私を養子にして下さい」


 俺はそう言って、頭を下げる。


「分かったわ」


「ありがとう!お姉ちゃん!」


 マリアが抱き付く。


「オイ!お姉ちゃんって?」


「私、兄さんよりもお姉ちゃんが欲しかったのよ。で、聖さんに助けてもらった時に、お姉ちゃんになって欲しいなって思っていたのよ」


「だからといって、抱き付くのかよ?」


「良いじゃん。同性だしね?ね?」


 うっ。マリア、ごめん。つい数時間前まで俺は男でしたが?

 なんて言えるでもなく、ただただ、顔を赤くしていた。


「養子の手続きは明日やって来るわ。早い方が良いからね?」


「ありがとうございます」


「良いのよ。で、貴女の魔力量なんだけどね?心当たりある?」


「心当たりですか…………」


「ありそうね?言っちゃいなさい?私達は家族になったのだからね?」


「イヤ、無いですよ」


「嘘だね。お姉ちゃん、私に出逢った時に旅をしているって言っていたけどさ。どこから旅をして来たの?旅をして来たなら、一番大事な身分証明があるのにそれがなかったのは何故なの?それにその服は何?少なくとも、私の国では見たことがないわ」


 マリアに責め立てられた。


「ハァ~。もう降参です。全く、初日からコレだからな!あの幼女神め!」


 幼女神に文句を言う。


「幼女神って?」


 リリカさんの質問を答えずに。


「俺は元男だ!というより、数時間前に転生してこの世界に来たばかりさ。で、マリアさんの悲鳴が聞こえたから、損得抜きで助けた。ただそれだけさ。で、この服はジャージという物だ。俺を転生させた幼女神が趣味で着ていた物だ。はい、証拠の手紙。この世界の文字で書かれているから、あなた達でも読めるだろう」


 俺は自分の正体を明かし、その手紙をテーブルの上に置いた。


 一家がその手紙を読んでいる。そして、俺がその神に殺された事も話した。


「た、確かに書かれているな?」

「ボクの趣味って?そのジャージがか?」

「じゃあ?その姿は神様が勝手に?」

「………」


「そうだ。ま、俺も神に言わなかったのも悪いが、まさか、女になるとは思わなかったよ。だから、口調もおかしかったでしょう?お、わ、私とか?少しカタコトになったとか?」


「確かにな?少し変だったな?」


「では、あなた達に改めて聞きます。こんな、俺を養子にしますか?」


「その前に幾つか質問よ。貴女の名前は本当なの?それと、魔力量は?」


 リリカさんの質問だ。


「本名だよ。聖 山瀬。これが、俺の名前さ。魔力はその幼女神から貰った。なんでも、自身と同等の魔力だと言っていた」


「そう、貴女は天涯孤独と言っていたけど?」


「ああ、この世界ではそうだよ。天涯孤独さ。でも、元の世界では親兄弟がいるよ。でも、両親は仕事が忙しくて、家には居なかった。両親の代わりに、お手伝いさんが居たよ。その人が居なかったら。俺達はまともに暮らしてはいけなかっただろうな。ま、俺も妹や弟の父親代わりをしていたがな」


「そうだったの?分かったわ」


「お前も一番上だったか?」


「ええ、妹や弟が、俺の事をお兄ぃ、お兄ぃって言っていましたよ」


「その妹や弟は幼いのか?」


「いいえ、年子で双子ですよ。妹が姉ですよ。お兄ぃは小さい頃からずっと呼ばれていましたから。もう直らないでしょうね?イヤ、もう………2度と逢えないですね………」


 俺の目から自然と涙が流れた。


「ごめんなさい。泣いてしまって、俺……男なのに………ごめん。止まらない………」


 後ろを向いて、涙を拭くが、全く止まらない。いつから涙もろくなったんだよ。

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