2人のマリアとクーデター16
今、俺達は空間で軽く体を動かしていた。
「なあ?これが終わったらお前は母親と帰るのか?」
「はぁ?」
「はぁ?って、イヤ、母親が来たんだろう?」
「で?」
「で?って?オイ!」
「先生?一度話しましたよ?俺は、人間だから、神界を追放されたと?俺が生きているうちは神界には帰れないよ。それにマリアが悲しむし」
呆れながらも言う。
「えっ?そうだったのか?すまん!」
「全く!」
俺は、準備体操をしてから筋トレを開始した。
「すごく筋トレをやっているな?」
「体が資本ですからね。いくら魔力があっても体力やスタミナ、精神力を鍛えないとね?後は魔力が切れたら、この肉体しかないし、これで戦えないなんて言っても敵は見逃してくれない。寧ろ、活き活きと殺しにかかりますよ」
「そうだな。戦えないなんて言っても戦場では通用しないな」
先生も筋トレを開始した。
筋トレが終わり、軽く模擬をやりたいので、自分のシャドーを創った。
そして、そのシャドーと模擬戦をやるがおかしい。俺よりも僅か強くしただけなのに滅茶苦茶強くなっている。これでは模擬戦ではなく本番さながらの実戦だ!それにシャドーは一昔のロボット口調で喋っている。
『ダメージ、カクニン、ツヨサヲ、サラニ、ジュッパーセント、アップ、シマス』
シュン!!
シャドーのものすごいパンチが俺の前を通り過ぎる。
「じょ、冗談じゃない!こんなのに当たれば死ぬ!!もういい!!消してやる!!」
間合いの取り、魔力を最大限にして、右手親指に魔力を込める。
まだ、未完成の技だが、中途半端な魔法よりかはマシだ。
そして、パチンコ玉よりもやや大きな真球を創り出し、親指の上に乗せ。
「【指弾術・砕】!!」
と、言い放つと、真球は『ドン』という音を立てて光速の約50%のスピードで、シャドーに向かって行き、シャドーは一瞬で消滅した。
「聖?大丈夫か?シャドーとかいう奴はめちゃくちゃ強かったが?」
パパ達も俺を心配をしていた。
「ええ、大丈夫だよ。兄さん。でも、俺はそんな設定はしていないよ。まあ、俺よりもホンの少しだけ強くしていて軽い模擬戦のつもりだったからね?」
「軽い模擬戦が、一体どのようになったら、あんなに激しくなるんだ?」
「全く分からないよ」
「えっ?軽い模擬戦だったの?てっきり、私は、暴れたいだけだと?」
別のところから母さんの声がした。
「この原因の犯人は母さんか?やめてよね?せっかくの調整訓練だったのに!!俺の魔力を殆ど使い果たしたよ」
まだ未完成技だから魔力の消費量が多い。
「あっ!?」
「本当だ!聖から魔力が感じられない!?」
「どうするのよ!?今からここで寝ても、そんなには回復出来ないでしょう?」
ママと先生が大騒ぎをしていた。
「12秒(12時間)でなんとかなるかな?」
「なら、早く寝なさい。魔力を回復しないとね」
12秒後。
なんとか回復したが、本調子ではないが、戦えないこともないな。そして、俺達は、母さんを伴って学園長室に行くと、エリサ、学園長、ジェーン先生が居た。
「おはようございます。でも、1人増えていますが?誰ですか?」
「ああ、私の生みの母です」
「えっ!?う、生みの母って?ま、まさか?し、神聖王様の………?」
エリサの声が震えている。
「ええ、私は神聖王の妻ですよ」
母さんがそう答えた途端に。
エリサは「はうぅぅぅ」と言いながら、気を失ってしまい、俺が体を支える。
「やはり、気を失ったか」
「えっ?このお嬢ちゃんは?」
「この人は、エリサ・クレア・ファーネリアというのよ。ファーネリア王国の王女様だよ」
「ああ、なるほどね?ファーネリア王国の王家と父さんとも、深い繋がりがあるからね?気絶するのも無理はないわ」
「な、なんと!?神聖王妃様が!?」
学園長とジェーン先生がびっくりしていた。
「まあ、アトランティスとも繋がりがあるからさ話ししたら来たのよ」
と、俺が説明した。
「なるほどのう」
「さて、行きますか?このお嬢ちゃんの介抱はお願いしますね」
「はい。分かりました」
気絶したエリサをジェーン先生に任せて、俺達は母さんの転移魔法で、アトランティスの村に行く。
マリア、待っていろよ。俺達が助けに行くからな。




