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武道大会 9 〜本戦〜

 先鋒戦で勝ち抜き、ユカはそのまま続行を決める。


「ギルド・ネコノメの次鋒は前に」


 審判に促されて、次鋒の男が武舞台に上がる。男の得物は槍だ。先程の試合よりも厳しい試合になると、誰もが予想し、武器を持たないユカは勝てられないだろうと。


 しかし、いざ試合を開始をすれば、終始ユカが圧倒し試合を有利に進めていた。


 無手のユカが、リーチの長い槍を持った男を圧倒する事は普通ならば不可能な事だが、しかし、ユカは、神、天使達の元で修行をしていた為、当然、様々な武器の対処の修行も行っている。更に魔法を使い、自身の視力をアップさせて、相手の動きを見極めていたので、たとえ、得物を持っている相手でも闘える事が可能だったが、物凄い集中力と体力、魔力を使う。


「おのれ!!喰らえ百本突き!!」


 劣勢を打開するべく、相手方は必殺技というべき技をユカに向けて放つ。

 連続で槍を突いてきているのに、ユカはそれを躱しながらも相手方の懐に入ってしまっていた。この行動には相手方も観ている観客達も驚きの表情を見せた。


「なにを驚いているのですか?鋭い突きを連続で出来ようとも、達人だと言えとも必ず突き出して伸び切った槍を引かないと次の突く攻撃動作には移れません」


 ユカはそう指摘するが、幾ら理論的にはそうでも、その行動を取れる人間は多くはない。


 相手方も焦り次の攻撃動作が取れずにユカに投げ飛ばされて場外へ落とされてしまった。


「それまで!!エルフチームの先鋒の勝利!!」


 審判が宣言をした。そして、エルフが武舞台に上がって来た。


「⋯⋯⋯ユカはここまで、次、次鋒の私が出る」


 エルフは審判に選手交代を告げた。ユカの体力は限界を迎えていた。


「⋯⋯⋯」


 ユカは、黙って武舞台から降りたが、それで限界だった。降りた途端に倒れ込むが、咄嗟にサトルとアルクェイドがユカの身体を支えた。


「ナイスファイトだ」

「やはり、強かったわね」


「⋯⋯⋯」


 ユカは疲労困憊で喋る事が出来なかった。相当、無理をして試合をしていた事が分かる光景だった。

 自陣に戻り、サトルがユカに回復魔法を施す。

 おそらく、ユカは後の試合は闘えないだろう。体力が回復してもその精神力が残っては居ないとサトルは判定を降したが、無理もなかった。ユカの身体はまだまだ未完成で、この武道大会を最後まで闘える体力・精神力は無かった。


 サトルは、この試合が終わったら、ユカを空間に休ませようと考えていた。


 ○●○


「第三試合、始め!!」


 審判の合図で試合が始まったが、エルフが瞬殺をしてしまった。

 なんてこともない。相手の顎を掠る様に殴り、脳を揺らし脳震盪を起こしただけだった。

 相手選手が救護班によって担架で運ばれていた。

 エルフは同僚のギルド員でも容赦しなかった。


「予選会でも思ったけどさ、エルフって武器を使わないの?エルフ族は魔法はもちろんの事、弓や剣の武器を持って戦うイメージがあるけど?」


 アルクェイドが質問をした。


「元々は弓使いさ。けどな、姉貴が弓を引く腕力があるのなら、徒手空拳も習った方が良いと言ってな。で、実際にやってみたら」

「予想以上にとんでもない使い手だったと」

「そういう事だな。魔力量もかなりあるからな拳に魔力を宿らせて闘えばとんでもない破壊力になる。この武道大会も弓を使わずに無手でどのくらいに闘えるか確かめたく出場を決めたらしい」

「なるほどね。しかし、人間相手では役不足ね?」

「だろうな。Xランクのギルド員でもエルフには敵わない。人間でエルフの相手になれるのは、聖拳帝か炎帝の2人だろうよ」

「そうね。と、私達が喋っているうちに相手チームの副将も倒したわ。相手にならなかったわ。でも、大将はそうやすやすとはいかなそうよ」


 アルクェイドは大将であるジョルジ・トウシンに目をやる。

 アルクェイドの見立てでは、普通の人間のは少し違った気配を感じていたが、人間は人間だ。多少なり違っていても、倒せない相手ではないとたかをくくっていた。


 だが、アルクェイドの予想に反してエルフは審判に選手交代を告げる。


 エルフの代わり、中堅のガイが出て来る。


「エルフ?何故交代をしたの?」

「⋯⋯⋯体力の温存⋯⋯無理をすれば、勝てない相手だったけど、次の試合を考えると、ここで交代した方が得策だとそう思った」

「へぇー?やっぱり、最後の相手は只者ではないと感じたんだ?」

「⋯⋯⋯アルクェイドも感じたのか?⋯⋯⋯そう人間には変わりはないけど⋯⋯⋯普通の人間とはどこか違う匂いがする⋯⋯⋯と言っても、善悪の匂いではない⋯⋯⋯言葉で言い表すのが難しい」

「そうね。私もその意見と同じ印象を持ったわ」


 エルフとアルクェイドは武舞台に居るジョルジ・トウシンを見つめていた。

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